お金で損する人・得する人

豪雨など自然災害に備える 火災保険の補償内容を総点検

高橋成壽
高橋成壽

・雪災

 雪災は雪による損害を補償します。雪が重く家屋が倒壊した場合、倒壊まで至らなくても家屋が損傷した場合に役立ちます。豪雪地帯に限らず、雪に不慣れな地域であれば少ない積雪でも家屋が損傷することがあります。風災、雹災とセットで付帯しているケースが多いので、確認しておきましょう。

・水災

 台風や豪雨などによる洪水や高潮、ゲリラ豪雨による内水氾濫、土砂崩れによる被害まで、水害に関する補償となるのが水災です。

 洪水や浸水により建物が損傷したり、水浸しになることで壁の張替えなどの被害があり得ます。最近は土砂災害や洪水で家屋が流されてしまうニュースもみかけます。ハザードマップを確認する際は、洪水の他、内水氾濫、土砂災害と異なるハザードマップの確認が必要です。

 水災を付帯すると火災保険料が大幅に上がるため、水災不担保としているケースもあるようです。ハザードマップを確認し、危険な地域に含まれている場合は、追加での加入を検討したほうがよいでしょう。

・盗難

 自然災害ではありませんが、火事場泥棒や被災地泥棒などの被害も聞きます。避難中に泥棒被害に遭うなどの可能性もありますので、保険加入の際に検討してはいかがでしょう。

■自然災害による怪我に備えるには?

 自然災害によって怪我をした場合、どのような保険が使えるのでしょうか。

 まずは、公的保険として労災保険、健康保険が考えられます。仕事中の被災であれば労災保険が適用になる可能性が高いでしょう。仕事中でなければ、健康保険を使っての治療となります。

 怪我で入院するような場合であれば、傷害保険や医療保険の入院給付金が支給対象となりそうです。怪我の症状が重く、将来的に身体に障害が残るような可能性もありますから、障害年金の受給可能性があることも覚えておくと良いでしょう。障害年金とは条件が異なりますが、障害者手帳を受け取れる可能性もありそうです。

 怪我で働けなくなった場合は、傷病手当金の受給も可能性がでてきます。

 自然災害が原因で亡くなった場合、生命保険の死亡保険金の他、災害保険金などの受け取り可能性もあります。災害時の保険金上乗せなどがあるかどうか、確認しておくとよさそうです。

 自然災害に備える方法は、発生しやすい場所に近づかないということが最も大切です。それがかなわない場合は、損害保険での対応を検討すると良いでしょう。生命保険が役立つ場合もありますし、公的な社会保険が適用になるケースもあります。

 今年も自然災害が増える季節になりました。自然災害は大丈夫という油断が生死を左右する場合があります。危険になる前に避難する、危険を感じたら近寄らないなど、心の準備も大切です。

高橋成壽(たかはし・なるひさ)
高橋成壽(たかはし・なるひさ) ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
寿FPコンサルティング株式会社代表取締役
1978年生まれ。神奈川県出身。慶応義塾大学総合政策学部卒。金融業界での実務経験を経て2007年にFP会社「寿コンサルティング」を設立。顧客は上場企業の経営者からシングルマザーまで幅広い。専門家ネットワークを活用し、お金に困らない仕組みづくりと豊かな人生設計の提供に励む。著書に「ダンナの遺産を子どもに相続させないで」(廣済堂出版)。無料のFP相談を提供する「ライフプランの窓口」では事務局を務める。

【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら

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