空中静止から海中へダイブ
「UFOを見た」と報告したパイロットは精神に疑いをもたれ、その職を追われるという都市伝説が知られています。しかし近年では、パイロットや軍関係者による「UFO目撃情報」が続々と公開、またはリークされ、先月5月21日にも米海軍から流出したという「未確認飛行物体」の映像が広く報道されています。
米国の軽巡洋艦オマハがサンディエゴ沖で撮影したとされる下の映像には、海上上空で静止していた謎の飛行物体が、垂直に降下して海中に飛び込む様子が捉えられています。
この映像を公開したのは映像作家のジェレミー・コーベル氏で、彼のSNSによるとこの映像は、「機密扱いではなく、米海軍内の報告書にあったもの」で、「2019年7月に撮影」され、「飛行物体の残骸は見つかっていない」とのことです。
ペンタゴンも認めた「ピラミッド型UFO」
ジェレミー氏はまた、同じく2019年7月にミサイル駆逐艦ラッセルによって撮影されたという「ピラミッド型の未確認飛行物体」の動画もアップしており、一部では、「この映像が米海軍によって撮影されたものであることをペンタゴンが認めた」と報道されています。こうした映像の出どころとしてジェレミー氏は、「私は毎日のように匿名の連絡を受け、こうしたデータを受け取っている」と主張しています。
これらの映像が流出する以前の2020年4月にも、米国の戦闘機F-18によって撮影されたという謎の飛行物体の映像3本が、米国防総省(ペンタゴン)によって公開されています。
そのうちの1本(下の写真)は2015年に撮影されたものとされ、円形型の物体が回転しながら風上に向かって高速で飛翔する様子が捉えられています。この飛行物体は複数のパイロットによって目撃されていて、彼らはそれが「決して超常現象ではなく、リアルな人工物であることに間違いない」と証言しているのです。
なぜいま目撃情報が相次ぐのか?
ではなぜ近年、こうした目撃情報が急増しているのでしょう? その理由のひとつとして挙げられるのは、「UAP(未確認空中現象)対策本部」(UAPTF:Unidentified Aerial Phenomena Task Force)の存在です。
ペンタゴン内には以前、「高度航空宇宙脅威識別プログラム」(AATIP:Advanced Aerospace Threat Identification Program)という、未確認飛行物体(UFO)や未確認空中現象(UAP)を調査する組織がありました。このプログラムは2012年に終了しましたが、その後も同様のプログラムが米海軍内で秘密裏に続けられていることがペンタゴンの調査で明らかになりました。
2020年6月、この調査組織が持つ情報の公開を米上院議員が求めます。これによってUFOまたはUAPの情報が国防総省から正式に公表されるようになり、または他方からリークされることによって、「未知なる飛行物体」の映像が広く報道されるようになったのです。
この出来事を経て、2020年8月、米海軍情報局内に置かれたこの調査組織「未確認空中現象(UAP)対策本部」は、ペンタゴンに正式に承認されました。兵士が当組織へ目撃報告する際、その軍歴に傷がつくことはないとされています。こうした配慮も報告件数の増加に寄与しているようです。