鉄道業界インサイド

「ロマンスカーミュージアム」にかける小田急の想い

枝久保達也
枝久保達也

 2階建て車両のロマンスカーも

 1963年にデビューした「NSE(3100形)」は、今ではロマンスカーの代名詞となった展望席を小田急で初めて設けた車両である。1980年にデビューした「LSE(7000形)」では展望席や連接車といったロマンスカーの特徴を引き継ぎつつ、リクライニングシートを採用するなど居住性の向上を図った車両だ。

 1987年にデビューした「HiSE(10000形)」は、展望席以外の乗客も車窓を楽しめるように高床構造(ハイデッカー)を採用した。「SSE」の後継車両として1991年にデビューした「RSE(20000形)」は、JR東海の371系電車と共通仕様で開発されたため、歴代ロマンスカーの特徴である展望席や連接車は採用されなかったが、2階建て車両を組み込んだことが特徴だ。

 ロマンスカーの前身にあたる、新宿~小田原ノンストップの「週末温泉特急」が運行開始したのは1948年のことであった。当時、100分だった所要時間は、70年後の2018年には複々線化の完成により最短59分まで短縮している。自分の思い出のロマンスカーに再会する楽しみはもちろんのこと、時代の流れの中でロマンスカーが変わった部分と、変わらない部分を探してみる楽しみもあるだろう。

枝久保達也(えだくぼ・たつや)
枝久保達也(えだくぼ・たつや) 鉄道ライター
都市交通史研究家
1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。著書に「戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団」(青弓社)。

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