誇らしい個性的なネーミング
日産自動車の「スカイライン」が、一般社団法人日本ネーミング協会が主催する「日本ネーミング大賞2020」において、自動車部門の優秀賞を受賞した。
日本ネーミング大賞2020は、2019年10月1日から2020年9月30日までに国内で販売、もしくは提供されている「商品名」「サービス名」「社名」などを対象に審査される。商標登録されていることが条件。一般に広く親しまれているネーミングの中から表彰される。
今年の大賞は王子ホールディングス、王子ネピアの「鼻セレブ」が受賞した。優秀賞には赤城乳業の「ガリガリ君」、キリンホールディングス、キリンビバレッジの「午後の紅茶」、Zホールディングスの「PayPay」などが選ばれている。その中の自動車部門で「スカイライン」が選ばれたというわけだ。なぜ今? という疑問は残るが、まずはめでたい出来事として受けとめたい。
スカイラインは1957年に富士精密工業(のちのプリンス自動車工業)が命名した。その後、プリンス自動車工業と日産自動車が合併した66年以降も主力車種として発売され、13世代目となる現行モデルにも引き継がれている。「山並みと青い空を区切る稜線」が由来だ。地平線である。澄んだ青空と地平線の伸びやかな印象が爽やかな印象を与える。日産の、というより日本の高度成長期を象徴するクルマとして君臨し、今でも圧倒的な知名度を誇る。
そう考えてみると、日産の長寿車にはストレートにハートに飛び込んでくるシンプルなネーミングが多いような気がする。「フェアレディZ」はその代表だろう。フェアレディは美しい女性、淑女を意味する。絶版となってしまったが、「サニー」や「チェリー」、「マーチ」や「ノート」も印象はストレートである。トヨタの「クラウン」もクルマのキャラクターを表現する傑作である。
絶版車となる伝統のモデルが少なくない中、「スカイライン」が今でも愛されていることは素晴らしい。それにもまして、アルファベットと数字から構成される車名が増えている、そんな風潮に抗(あらが)うように、個性的なネーミングであることが誇らしいのだ。