舌を巻く「マイナス・エミッション」
水素と空気の化学反応によって発電した電気エネルギーを使いモーターを駆動させ、「ガソリン消費ゼロ」で水素燃料電池自動車は走る。
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水素燃料エンジンは、水素と空気を、いわば「燃焼させる」ことから水蒸気が発生する。走行中、大気汚染や地球温暖化の元凶とされている二酸化炭素(CO2)や、有害物質である窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、浮遊粒子状物質(PM)が発生しない。吐き出されるのは「水」のみ。衛生状態さえ管理すれば、グビグビ飲んでも体への害がない真水が吐き出されるだけなのである。トヨタの新型ミライが、夢のクルマといわれる所以(ゆえん)である。
新型ミライでは、それまで垂れ流しだった「水」でさえ、オーナーの希望するタイミングで吐き出せるようになった。これまでは床を濡らしたくないガレージなどでも床下に小さな水たまりが残ったが、新型ミライではそんな心配もない。有害物質だけでなく、無害な水さえも不用意に垂れ流さないのである。
エネルギー効率に優れている点も見逃せない。ガソリンを燃焼させて動力を得る内燃機関のエネルギー効率は15~20%だといわれている。だが水素燃料では30%。エネルギー効率は内燃機関の2倍ほど優れているのだ。それでいて、有害物質を吐き出さないのだから、まさに究極の「ゼロ・エミッション」である。
しかも、新型ミライはそれだけにとどまらない。「ゼロ・エミッション」をさらに推し進め、「マイナス・エミッション」を実現したというのだから舌を巻く。つまり、走れば走るほど空気がきれいになっていくのである。まさに、想像を超える「究極のクリーンカー」であろう。