働き方の変化によって住みたい街の勢力図に異変が起きている。「借りて住みたい街」ランキングで4年連続1位だった池袋(東京都豊島区)が5位に陥落し、若者に人気の三軒茶屋も5位から11位に後退。代わりに1位に躍り出たのが都心から電車で1時間ほどの郊外にある本厚木(神奈川県厚木市)だった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響でテレワーク(在宅勤務)が普及し、通勤から解放されたことで都心を“脱出”してテレワークや子育ての環境が整った自然豊かな街が脚光を浴びているという。ニューノーマルの時代に求められる「街選び基準」とは何かレポートする。
「もう東京に住もうとは思っていない」
そうつぶやくのは、横浜市鶴見区に住む男性会社員(28)。現在は実家で暮らしているが、来年から都内在住のパートナーと2人で暮らそうと考え、新居の候補地を探しているという。
当初はパートナーの勤務先に近い都内で転居先を探していたが、コロナ禍で都心に向かう機会が減り、考えが変わったという。「都内に住むのは考えていないです。ただ、そこまで都心から離れすぎるのも不便ですよね」。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」(ライフルホームズ)の「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング(首都圏版)」が発表されたのは、都心へのアクセスが良い神奈川県内で新居の候補地を探していた矢先だった。
今年4~8月にLIFULL HOME’Sに掲載された首都圏(1都3県)の物件の問い合わせ数から算出した「“実際に探されている街・駅”のランキング」で、意外なことに「本厚木」がトップだったのだ。4年連続で1位だった池袋や、常に上位をキープしていた三軒茶屋(東京都世田谷区)は順位を落とす結果に。この勢力図の大きな変化に、インターネット上では「なんで本厚木!?」「ついに厚木が注目される時代に!」などと話題になったが、男性は「テレワークが普及した現状はそういう流れなんでしょう」と納得した様子だった。