最近普及している、iDeCoやつみたてNISAは投資リスクを抑えることに焦点をあてており、積立による時間分散という手法で投資リスクを軽減できるとうたっています。しかし、時間分散による投資には致命的な欠陥があることは知られていません。その欠陥とは時間がかかりすぎることです。
お金の増えるスピードが速い一括投資
毎月5万円投資した場合、年間60万円、30年で1800万円投資することができます。利率を3%だとすると、30年後に2855万円になる計算です。もし手元に1800万円投資できる人が、利回り3%の投資をした場合、1800万円×3%×30年=1620万円の成果をえることができるため、元本1800万円+収益1620万円となり、1800万円の資金は3420万円に成長します。積立投資の成果は1.59倍ですが、一括投資ですと1.9倍の成果になります。
積立投資の効果は否定しませんが、一括投資の方がお金の増えるスピードが速いのです。お金持ちが益々お金持ちになるのはこのような理由です。しかし、日本では金融機関の取り扱う商品は、海外と比べて劣ることが多いようです。投資しても資金が増えないという構造になっていました。
このような状況にメスを入れたのが金融庁です。主に証券会社による商品の回転売買で手数料を稼いできたため、本来投資家の手元に残るはずの利益を食いつぶしてきたというのです。
退職金や相続資金はこのような状況で、銀行や証券会社が目減りに貢献してきた事実があります。一方で、富裕層のなかでも資金額が多い超富裕層の場合は、回転売買によって投資利益が食いつぶされるということがありません。それは付き合う金融機関が違うからです。
富める者がさらに富む、隠された仕組み
外資系銀行のプライベートバンキング部門やプライベートバンクとよばれる海外の金融機関など、超富裕層専門の金融機関があります。これらの金融機関が顧客提示する商品は最低投資金額が高額で、一般投資家には手が届かない商品がほとんどです。しかし、ここに富める者がさらに富む仕組みが隠されています。
超富裕層が投資している金額は億円単位です。その中で、外国債券に分散投資しているケースが見受けられます。個人向け国債のように0.05%という数字ではなく、3%~7%と一般向けの金融商品とは利回りが違います。
つまり、前述したシミュレーションを最低利回りとして、より高い利回りで資金を運用しているのです。利率3%で30年運用し続けると、元本は1.9倍になりますが、利率が7%になると元本は3.1倍になるのです。
もし資金が3倍になれば、相続税で資産の半分を納税するとしても、当初元本の1.5倍は残る計算です。一般市民は相続税を払うたびに一家の資産が減っていきますが、富裕層は資金を増やすことでゆとりをもって相続税を支払い、かつ一家の資産を増やすことにも貢献しているのです。
このように、富裕層は付き合う金融機関を替えることで資金を効率的に増やすことができるのです。一般の銀行や証券会社では、販売しやすい売れ筋の投資商品を販売し、一方で仕組み債と呼ばれる売り手が確実にもうかる商品を販売することがゴールとなり、顧客の資産成長を考慮できません。そのような歴史が、銀行や証券会社が経営に苦しむ原因の1つであり、顧客の資産が増えない理由となっているのです。
【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら