り災証明書は行政が発行しますので、窓口がわからない場合は市町村役場に相談してください。住民票を添付する必要があるので、マイナンバーカードがあると便利です。
支援金の申請は、市町村で受け付けた後、都道府県で取りまとめ被災者生活再建支援法人に送付されます。その後、被災世帯への支給となりますので、損害保険のように迅速な支払いとはならないようです。
令和2年7月の豪雨では熊本県で545世帯が被災者生活再建支援法の適用になりました(令和2年7月15日時点)。令和元年の台風15号・台風19号では福島県で2594世帯、長野県で1273世帯、ゴルフ場のネットが倒壊した千葉県では671世帯が対象となっています。平成30年の北海道胆振東部地震では、1169世帯が対象、平成23年の東日本大震災では20万2721世帯が支援金の支給対象となっています。
被災者生活再建支援制度だけで、生活再建ができるわけではありません。しかし、損害保険に加入していない人、保険金だけでは住宅再建が難しいような場合に、最大300万円の支援金は大きな助けになるでしょう。
住宅の応急修理制度
災害救助法に定められた制度です。災害によって自宅が半壊などの被害を受け、居住できない場合かつ、応急的に修理すれば居住可能な場合に、自治体が必要最小限度の修理を行う制度です。
(1)対象者
・住宅が半壊または大規模半壊の被害を受けている
・修理することで自宅での生活が可能と見込まれる
り災証明書が必要で、被災具合によっては年齢ごとの所得要件を満たす必要があります。仮設住宅に入居していると適用になりません。
(2)応急修理の範囲と金額
住宅の応急修理の範囲は、屋根、壁、床など日常生活に必要な部分です。1世帯あたり59万5000円までの修理となります。修理の契約は自治体が行い、基準額以上の修正は自己負担となります。
(3)応急修理の期間
災害発生の日から1カ月以内とされていますが、1カ月以内に修理を完了することができない場合は、必要最小限の期限延長が可能です。東日本大震災では発災後1年とした例があります。
住宅の応急修理制度は建て替えや住み替えでなく、自宅を修理することで住まいを確保することに利用できます。他にも、地方自治体ごとに独自の支援策がありますので、被災後になりますが、住まいの自治体からの情報を得られるようにするとよいでしょう。
いずれの制度も災害の発生から一定期間で受付が終了します。知らないと損、知っていれば得する可能性のある制度と言えるでしょう。
【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら