教育・子育て
学校でも進む熱中症対策 首元にネッククーラー、傘さして登下校
新型コロナウイルスの脅威にさらされる今年の夏は、例年とは異なる熱中症対策が求められる。休校で失われた授業時間を補うために、多くの学校で7月下旬や8月上旬まで1学期が続き、子供たちは炎天下の中、自宅と学校を往復することとなる。異例の夏を乗り越えるため、各地の教育委員会などは知恵を絞っている。
埼玉県加須市教育委員会は、熱中症対策として首元を冷やす「ネッククーラー」を約8300本購入して市内の小中学生に配布した。水で湿らせて首元に巻くと気化熱による涼しさを得られるという。
同市の市立学校では、授業時間を確保するために夏休みが短縮され、1学期が8月7日まで延長される。市教委学校教育課の担当者は「子供たちには一番暑い時期に登校してもらうことになる。ネッククーラーを活用することで少しでも熱中症リスクを下げることができれば」と期待を込めた。
国内観測史上最高気温の記録を持つ同県熊谷市では、市立小中学校で6月から傘をさした状態での登下校を実施している。傘で日陰を作って暑さを和らげると同時に、他の子供とのソーシャルディスタンス(社会的距離)のとり方に慣れるという「一石二鳥」を狙った。
市は熱中症の注意点を掲載したトイレットペーパーを1万個作成し、市内の中学校に配布する注意喚起策にも取り組んでいる。
埼玉県によると、6月の県内での熱中症による救急搬送者は379人で、前年同月の約2倍となっている。県教委保健体育課の担当者は「換気などの対策が徹底されていれば必ずしも常にマスクをつける必要はない。それぞれの教育現場で子供たちの健康を第一に考え、熱中症対策と感染対策の両立を図ってほしい」と語った。
(竹之内秀介)