「のぞみダイヤ」と「こだまダイヤ」
ドクターイエローは「のぞみダイヤ」と「こだまダイヤ」の2種類の検査ダイヤで検測を行っている。「のぞみダイヤ」では主に本線における高速走行時のデータを検測しているのに対し、「こだまダイヤ」では主に副本線(待避用の線路)のデータを検測している。のぞみダイヤにおける検測頻度は10日に1回程度、こだまダイヤにおける検測頻度は、電気検測は3カ月に1回、軌道検測は2カ月に1回だという。
検測は東京~博多間を一括して行われており、新大阪駅でJR東海の検測員とJR西日本の検測員が交代している。車内には運転士と車掌が1名ずつ、検測員が7名乗務している。ドクターイエロー専門の運転士はおらず、通常の営業線を担当している新幹線の運転士が運転しているという。
すぐに引退することはない
気になるのはドクターイエローの今後である。JR東海は、現在導入を進めている新型車両「N700S」型の一部編成に「トロリ線状態監視システム」「ATC信号・軌道回路状態監視システム」「軌道状態監視システム」を搭載し、2021年4月に営業運転をしながら地上設備の観測を開始すると発表している。
既にJR九州は、同様の装置を営業列車に搭載し、「ドクターイエロー」を用いることなく、線路の状態を検測しており、将来的には、10日に1度走行する専門の総合試験車両ではなく、毎日走行する営業列車に観測システムを設置して、より高頻度の検測体制を構築することになるのかもしれない。ただ、JR東海によれば現在のドクターイエローは当面、継続して使用する予定ということで、すぐに引退してしまうということはないようだ。
【鉄道業界インサイド】は鉄道ライターの枝久保達也さんが鉄道業界の歩みや最新ニュース、問題点や将来の展望をビジネス視点から解説するコラムです。更新は原則第4木曜日。アーカイブはこちら