雨後の筍のごとく、次々と車種追加を繰り返すSUV市場の猛威には驚かされる。市場の主役の座をセダンから奪って久しい。その勢いは沈静化の気配はなく、むしろ燃え盛っていくかのように勇ましい。業界最大手のトヨタでさえ、豊富なモデルラインナップの隙間を埋めるかのように、SUV攻勢の手を緩めないのだ。
この春に誕生したハリアーは、プロトタイプ試乗が企画されるや否や、話題は業界を超えて世間に伝播した。新型コロナウイルスで市場がシュリンクしたことなど嘘のように、活気付いているのだ。
初代からブレのないコンセプト
今回発売されたばかりのハリアーは4代目となる。1997年にデビューした初代は、ともすれば無骨なクロスカントリー色の滲むSUVに高級乗用車風のテイストを盛り込むことで成功した。それまでの、河原や砂漠といった道なき道を突き進むジープ派生型だったスタイルから一転、土の香りを洗い流し、爽やかなオンロードモデル市場を開拓したのである。いわば「都会型SUV」である。
それ以来、ハリアーは自ら掲げたコンセプトを追求していく。2003年デビューの2代目には、HVとプリクラッシュセーフティを投入。ひと足先に先進技術を盛り込むこともハリアーの特徴の一つになった。3代目は国内専用モデルとなり、日本市場にフィット。4代目となる新型は、再び海外市場に進出することになったものの、コンセプトにブレがない。というより、さらに色濃く高級感を強調している。ターゲットは30代のビジネスエリートであり、50代のナイスミドルである。いいモノを見極める力を持ち、これみよがしの華美を嫌うユーザーを想定している。