ヘルスケア

アルコール消毒液なくても 新型コロナ感染防止に台所用洗剤も有効か

 新型コロナウイルスの感染防止のためのアルコール消毒液が入手しづらい状況が続く中、洗剤など身近な日用品で代用する新たな消毒方法に注目が集まっている。政府系評価機関が台所用洗剤などに含まれる界面活性剤の成分で有効性が認められたと公表。緊急事態宣言解除による店舗や施設の営業再開で消毒液の需要はさらに膨らむとみられ、身の回りの物品の消毒などへの活用が期待されそうだ。(有年由貴子)

 「新型コロナ対策の新たな消毒法の選択肢になれば」。独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」の高見牧人理事はこう話す。

 NITEは5月22日から、ホームページで新型コロナウイルスの消毒に有効な成分を含む家庭用洗剤の製品リストを公表している。一覧には、「ジョイ コンパクト」(プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン)、「キュキュット ハンドマイルド」(花王)などの台所用洗剤、「バスマジックリン」(同)といった住宅家具用洗剤などの製品137種類(5月29日現在)が並ぶ。

 政府の要請を受け、国立感染症研究所や北里大と共同で、消毒に有効性が期待される成分数種類をピックアップして検証。このうち、中間報告の時点で塩化ベンザルコニウムやアルキルグリコシドなどの界面活性剤7種類について有効性が認められた。

 界面活性剤は、新型コロナウイルス表面を覆う脂質の膜を壊すなどの効果が期待され、家庭用洗剤に幅広く含まれている。すでにインフルエンザウイルスなどで有効性が確認されていたが、今回の検証試験では、希釈液に入れた新型コロナウイルスの99・99%以上が不活化され、効果が裏付けられた。

 そのため、身の回りの物を拭くための消毒液として活用できるという。ただ、手や皮膚への使用は想定していないため使えない。また、本来対象でないものに使うと家具などが変色してしまったりする恐れもあり、注意が必要だ。

 高見理事は「原則的には風呂用なら風呂、家具用は家具とメーカーが指定する用途の範囲内で使用してほしい。家具用洗剤がない場合には、手に触れることを前提として作られている台所用洗剤を薄めて代用することも可能だ」とする。台所用洗剤を使用する場合は、拭き取った後に、水拭きした上で乾拭きする必要もある。

 新型コロナに有効な消毒方法をめぐっては、これまで、高濃度アルコールや塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムなどが挙げられてきた。

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