ローカリゼーションマップ

大きな物語ではなく「ハイパーローカル」 今ここから考え、動き、変えよう

安西洋之
安西洋之

 こういう時は、静かに語りたい。

 今、1冊の本を翻訳している。原題は Politics of the Everydayという。「日々の政治」と訳せばよいのか、適当なタイトルを考えている最中だ。

 著者はエツィオ・マンズィーニである。ソーシャルイノベーションの第一人者だ。その彼が、ソーシャルイノベーションのおこし方を説いている。皆がすぐ頭に思い浮かべるような「政治」ではなく、市民の1人1人が当事者となる日々の政治について語る。

 結論を先にいうと、自分の生活の範囲で支配的なロジックにNOと言い、現在通用しているシステムを大きく変えるために、自分が何をすればよいかを考える。それがたとえ、行動範囲が物理的に限定されているローカルであってもよい。いや、そうでなくてはいけない。

 なぜなら、自分の限界を認識することが起点にならないといけないからだ。また自分が生きるローカルの動きが、地球上の遠い距離にある他のローカルと連動性をもてるのが、現代のグローバリゼーションである。よって自分の依ってたつところで活動を重ねることを「小さい自分の存在」として悲嘆する必要はない。

 この本の序章は以下の文章ではじまる(まだ下訳の段階なので、品質についてはご容赦願いたい)。

 “大昔のことだ。私は1枚の写真に衝撃を受けた。無数の星と銀河が写し出されていて、矢印があり、白い点を指している。そこに「君はここだ」と記されている。その時、この写真は私に何か大切なことを語りかけてくれた。だが、子ども心にはよく分からなかった。今は少しマシに理解できると思う。私たち人類は大きな宇宙のどこかにいて、とてつもなく複雑な状況におかれている、と。だが、一方で私たちはここにいるのだ。そして私たちの立っている場所から、たまたま私たちがいる宇宙の一地点から、動き考え、そして私たちを取り囲むものを変えていく。私たちはこうして生きている。”

 だからこそ自分の存在意義を考えやすくなる。

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