前回に続いて、新型コロナウイルスに関係しそうな社会保障を解説します。実は日本の社会保障制度は非常に充実しています。特に会社員の方への補償が手厚い印象です。ベーシックインカムはすでに存在していると言っても過言ではありません。一方個人事業者に対する補償が重視されていないため、今後何らかの制度が必要になると考えられます。
失業した場合にもらえるお金=失業保険(雇用保険の基本手当)
もし新型コロナウイルスの影響で、仕事を失った人がいる場合は収入を補填する仕組みがあります。20代や30代など若い人は聞きなれない制度かもしれませんが、会社員として働いている人が失業した場合は、失業保険という制度からお金がもらえます。
一定の条件があります。雇用保険の被保険者であることが大前提。短期雇用や、1週間当たりの労働時間が短いなど一部の例外に該当しないこと。フルタイムで働いている人は基本的に加入対象となります。社長など経営陣は対象とはならないのですが、会社の役員であっても部長、支店長、工場長など従業員と同様と考えられる人は雇用保険の対象となります。個人事業者の人は自身が代表者であるため雇用保険料を支払っておらず、失業保険の対象外となります。雇用保険に加入しているかどうか知りたい人は勤務先に確認してください。雇用保険の保険料は、労働者の負担がなく会社負担のため、給料から天引きされることもありません。通常は雇用保険の加入者証が発行されるのですが、退職するまで本人に渡さない会社も多いのです。
パート社員やアルバイト社員の人は、1週間の労働時間が20時間以上ある場合に雇用保険の加入対象となっています。例えば子育てしながら、週3日、1日5時間勤務ですと週15時間労働となり対象外です。
失業保険はいくらもらえるのでしょうか。
失業保険でもらえる1日あたりの金額を基本手当日額といいます。基本手当日額は過去6カ月の給料(ボーナス除く)の合計を180で割った金額の50~80%となっています。加えて、年齢帯ごとに日額の上限が設定されており、30歳未満6815円、30~45歳未満7570円、45~60歳未満8330円、60~65歳未満7150円となります(参照はこちら)。
読者の皆さんの日給と比べていただくといいでしょう。ご自身の日給が2割~5割カットされて支給されるイメージです。生活するには厳しい水準でしょう。
失業保険を受け取るには、就職活動を実施する必要があります。家でのんびりしているだけでお金がもらえるわけではないのです。ハローワークに通って、就職活動の経過を報告しないと失業保険の給付対象となりません。