韓国、マスク・消毒剤の買い占めや売り惜しみを処罰
【ソウル=名村隆寛】新型コロナウイルスへの感染問題で韓国政府は5日、需要が高まっている予防用のマスクや手の消毒剤の価格つり上げを目的とした大量買い占めや、売り惜しみを処罰する対策に踏み切った。
昨年の月平均販売量の150%を超す量を5日以上保管した場合「売り惜しみ」とみなし、これらの行為は4月末まで禁止される。違反した業者は2年以下の懲役もしくは5千万ウォン(約460万円)以下の罰金を受ける。
また、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相はこの日に開かれた関係閣僚会議で、マスクや消毒剤の国外持ち出しを防ぐ方針を提示。1千個もしくは200万ウォン(約18万4千円)相当を超えるマスクと消毒剤を国外に搬出する場合、輸出手続きは簡易なものから正式な手続きに変更される。さらに、審査の過程で買い占めや売り惜しみの疑いがある場合は、通関を保留するという。
新型コロナウイルスをめぐって韓国では、5日までに19人の感染者が確認されている。このうち4人は日本、タイ、シンガポールなど中国以外の国への渡航後、韓国国内で感染が確認された。こうした中、感染への不安と同時に予防用のマスクの需要が高まり、品薄になっている。中国人旅行者によるマスクの「爆買い」情報もあり、市民の不安に付け込んだ悪質業者の存在も指摘されている。
新型コロナウイルスの影響は、韓国の製造業にも出ている。中国での工場停止により部品の在庫が底をついたことで、現代自動車は韓国国内の全7工場の順次停止に入っている。また、双竜自動車はソウル南方の平沢市にある工場の12日までの停止を発表した。
一方、韓国警察は5日までに、新型コロナウイルスに関するフェイク(虚偽)ニュースを作成、ネットで流布した疑いで20代後半の男を検挙した。「慶尚南道昌原(チャンウォン)市に感染の可能性がある人がいる」という内容で、感染がらみの偽情報による検挙は初めて。