「インフルエンザ・ハラスメント」が横行? 2割が完治前に出勤している実態
「体調管理なってない」「仕事に責任感がない」
流行中のインフルエンザ。「熱が出た後5日、かつ解熱した後2日」が復帰の目安とされるが、誤った対応を取る職場も少なくない。罹患(りかん)しても休みを取らせてくれなかったり、出社したら「みんなが迷惑している」と非難を浴びたりするケースもある。「インフルエンザ・ハラスメント」。そう呼ばれる理不尽な行為が横行している。
大相撲でも問題は露呈した。十両の貴源治(22)は今月11日の佐賀巡業で体調不良を訴え、病院でインフルとの診断を受けたが、春日野巡業部長の判断で相撲を取らされた。取組直前で、対策が取れなかったというが、批判を受けて芝田山広報部長は弁明に追われた。
問題は角界だけではない。企業では、インフルへの無理解がまだまだ残っているようで、休まず出社するのが当然との認識が残る職場も少なくない。
養命酒製造が10月に20~59歳の社会人千人を対象に実施した調査では、昨シーズンにインフルに罹患した122人の22.1%が「完全に治る前に出勤した」と回答。このうちの3.3%は「休まずに出勤した」と答えていた。
さらに、37人がインフルを理由に嫌がらせを受けたことがあると回答。具体的には「予防意識の低さを指摘された」(30代女性)や「仮病と疑われた」(40代男性)-などが挙げられた。「みんなが迷惑している」(30代男性)、「社内に感染を広めるつもりか」(50代男性)との言葉を浴びせられたケースもあったという。
若者の労働相談などを受け付けるNPO法人「POSSE(ポッセ)」によると、同種の相談は珍しくないという。デザイン業の50代女性は「インフルで休んだら『責任をもって仕事をやり遂げない人』と上司に告げ口をされた」といい、カラオケ店の20代のアルバイト女性は「代わりの人が見つからず出勤したが、接客でマスクを使わせてもらえなかった」という。
POSSEの今野晴貴代表は「実際に相談までしようという人はわずか。ハラスメントを受けても職場に言えずに我慢している人は多い」と話す。