健康カフェ

(167)お腹ゴロゴロ… 牛乳に頼らない選択肢ないの?

 70代前半から下の人たちの大半が、学校給食で牛乳を飲んでいた記憶があるのではないでしょうか。しかし子供の頃は問題なく飲めたのに、いつの間にか、お腹(なか)がゴロゴロして、お通じが緩くなるようになったという人は多いと思います。それは乳糖のせいです。日本人の多くは、子供の頃は乳糖を分解する酵素を分泌できますが、成長とともに十分な量の酵素を分泌できなくなります。

 乳製品が体に良いかどうかという議論は以前からあります。22万人の米国人を対象に乳製品の摂取と死亡率の関係を32年間、調べた研究結果が今月、英国の医学雑誌に発表されました。結果は、乳製品の摂取量が多くなるほど死亡率が増えるという関係ではありませんでしたが、それでも乳製品の摂取量により5群に分けたとき、最も少ない群に比べ最も多い群では死亡率が7%増えていました。

 心血管病での死亡率は摂取量が最少と最大の群では差がなく、適度に摂取する人たちはそれより若干低くなっており、がんの死亡率については、摂取量が多くなるにつれ高くなる傾向でした。製品別に見ると、牛乳の摂取が多くなると全死亡、心血管死、がん死ともに増えるという結果でしたが、ヨーグルトやチーズではそのような関係は見られませんでした。また乳製品の一部をナッツや豆類、全粒穀物に代えると死亡率は低下し、赤肉や加工肉に代えると逆に死亡率は上昇していました。

 この結果から、すぐに牛乳をやめろというわけではありません。結果が一致しない他の研究もあるし、日本で行われた研究では、牛乳の摂取頻度が高くなると心血管死、がん死ともに減る傾向が見られています。ただ欧米人に比べ日本人の乳製品摂取量はかなり少ないことや、日本人は乳糖不耐の人が多いという体質の違いなども影響している可能性もあります。

 好きならある程度飲むのは問題ないですが、ただお腹の調子が悪くなるのを我慢して飲むほどのものでもなさそうです。代わりにナッツや豆類、全粒穀物を取り入れることを考えても良いでしょう。

(しもじま内科クリニック院長

       下島和弥)

=次回は1月9日掲載予定

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング