(157)HIIT 激しい運動を短時間、休みながら
健康のためにお酒の飲み過ぎや、食事には気を付けていても、運動となると、なかなか続かない人は多いのではないでしょうか。
糖尿病で通院している40代前半の男性患者さんは、少しずつ飲食に注意を払うようになり、次第に血糖値も下がってきたので、あとは運動ですねとお話ししたところ、「なかなか運動に充てる時間がなくて」というお返事でした。
体脂肪を燃焼させるための運動は、以前は30分以上続けないと効果がないと考えられていましたが、最近では、もっと短時間でも効果があることがわかっています。例えば、運動を30分連続して行うのと、10分ずつ3回に分けて行うのでは、効果はほとんど変わりません。
近年、体に負荷の大きい高強度の運動を休みを入れながら繰り返す方法が注目され、高強度インターバルトレーニング(HIIT)などと呼ばれています。ランニングや自転車漕ぎなどを、高い「強度」で4分間、場合によっては全力で30秒というように短時間で行い、その後数分休むといったサイクルを何回か繰り返すというものです。中等度の持続運動と比べ運動能力や心血管機能を上げる効果が大きく、インスリン抵抗性や血圧改善の効果も同等かそれ以上であると報告されています。飽きにくいという特徴もあります。
5月に英国の運動医学雑誌に報告された研究によると、インターバルトレーニングは中等度の持続運動に比べ、より少ない時間で3割ほど多く体脂肪量を減らすのに成功していました。
運動したいけど時間があまりないという人には特にお勧めできる方法といえます。運動の強さは、自分が感じるきつさを参考に少しずつ負荷を増やしていくと良いでしょう。早歩きで結構きついのであれば、その人には早歩きが高強度の運動ということになります。ただ、高齢で運動慣れしていない人、ひどい息切れや胸が重苦しくなるといった症状が出る人、高血圧のコントロールがついていない人などは、運動を始める前に医療機関で相談してください。(しもじま内科クリニック院長・下島和弥)