住民税は、その年の1月1日時点の住所地に住民の前年の所得に対して課税されます。特例申請をした自治体は、住民税を課税する自治体にふるさと納税をした情報を連絡しますが、変更届出書を提出しないと、転居前の住所地にその情報が行くことになって、正しい控除が受けられなくなってしまいます。
◆確定申告するとワンストップ特例申請は無効になる
ワンストップ特例申請をした後に、マイホームを購入し、住宅ローン控除を利用する、医療費控除を利用するなどで、確定申告が必要になることもあるでしょう。ワンストップ特例申請をしておけば、住民税からの控除を自動的に受けられるかというとそうではなく、確定申告をすると、ワンストップ特例申請は無効になってしまいます。あらためて確定申告でふるさと納税を記載する必要があります。
ふるさと納税は本当に自治体のためか? 見直しで原点回帰
2019年度の税制改正大綱では、ふるさとの納税の対象を、返礼品を寄付金額の3割以下、地場産品とする案が出されています。ふるさと納税の本来の目的は、地方創生にあります。また、納税先を選択できることで、税の使われ方に関心を持つきっかけとなる制度として位置づけられています。
2017年度に実績のふるさと納税額3653億円のうち、返礼品などの調達に係る費用は約1406億円で納税額に占める割合は38.5%です。返礼品の調達先が地場産品に限定されると、その分、その自治体の産業活性化にもつながります。
ふるさと納税の受け入れにかかる費用は、返礼品の調達費を含めると2027億円に達します。これには、発送料やクレジットカード決済手数料、広報費、その他事務経費が含まれます。実際に自治体がふるさと納税として受け入れて、自由に使えるお金は、差引1,626億円となり、ふるさと納税金額に占める割合は、約45%で半分に満たないという現実もあります。ふるさと納税は、制度の仕組みだけではなく、制度の実態も踏まえて、賢く活用してもらいたいです。
【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。毎月第2・第4水曜日掲載。