自分が子育てをしていると、育児を取り巻く社会の環境や制度にもおのずと目が向く。今回は半年間の育休中に公共交通機関を中心とするインフラ面で気になったことについて話を進めたいと思う。ベビーカーを携えた電車移動や某有名デパートで遭遇した“エレベーター事件”など、多大な苦労やストレスに辟易する日もあれば、便利な設備や人々の優しさに触れる機会もたくさんあった。また、育休の制度や実態、気になる待遇についても若干触れたい。(文・写真 大竹信生)
◇
子供が生まれてから行動の自由が減り、移動範囲も極端に狭くなった。乳幼児がいると遠出は疎か、自分が行きたい場所に気軽に赴くことも難しくなる。子供を抱っこしたり手を繋いで歩けば歩行速度は大幅に遅くなり、加えてベビーカーという大きな荷物もある。オムツや着替えも持ち歩くため、どこへ行くにも重たいスーツケースをゴロゴロ押して帰省するような煩わしさが付きまとう。毎日のちょっとしたお出掛けですら、まるで小旅行なのだから、電車やバスに乗るとなればかなりの体力と忍耐力、そして覚悟を要する。
交通インフラで苦労
駅の構内はベビーカー使用者にとってなかなかの鬼門だ。私の生活圏である首都圏の大きな駅にはA型と呼ばれる大きめのベビーカーが余裕で通れる広い改札ゲートがあるが、一般的な改札しかない場合は横幅が狭いため、後続の人たちに迷惑を掛けないよう流れに乗って通り抜けるのは困難。しかも、広い改札ゲートが便利だといっても、向かい側から入場してくる人の列が途切れない限り、通過するのは難しい。とくに電車の到着前後は改札口が混雑しやすいので、人通りが一段落するまで待つようにした。
ホームが地上階にないときはエレベーターに頼ることになるが、お年寄りや体が不自由な人などエレベーターを必要とする人は子ども連れ以外にもたくさんおり、混雑時は5分~10分ほど並ぶこともよくあった。とくにエレベーターを必要としない人でも、目の前にあればついつい乗ってしまうこともあるだろう。私もかつてはそうだったが、子供ができてからは、一人で行動するときは控えるようになった。