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「生きているうちに事件の舞台裏を伝えたい」 イトマン事件、OBが激白

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「生きているうちに事件の舞台裏を伝えたい」 イトマン事件、OBが激白

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 傍士氏は「これらの投資話は社内で『伊藤案件』と呼ばれていたが、伊藤氏はもともと不動産関係をやっていたし、違和感はなかった。河村さんの信頼もあり、一時は副社長の話もあった」と振り返る。

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 伊藤氏とつながりのあった許氏は、河村氏に美術品や貴金属への投資を持ちかけ、鑑定書を偽造するなどして市価の2~3倍で売りつけて暴利をむさぼった。

 事件の教訓は今も

 同年5月、日経新聞がイトマンの過剰融資について報じたが、河村氏は「うちにはちゃんとした公認会計士もいる。大丈夫だ」と周囲に言い放ち、意に介さない様子だったという。

 住銀の磯田氏は懐刀である河村氏を擁護し、問題が表面化しないよう画策していたとされる。だが、事態は住銀内の派閥争いも絡んで複雑化。磯田氏はイトマンの不審な動きを察知しながら対応できず、同社を経由して伊藤氏への不正融資を行っていた。後に磯田氏の娘が同社との絵画取引に関わっていたことも明らかになっている。

 大阪地検特捜部と大阪府警は3年、特別背任や法人税法違反の罪で河村氏と伊藤氏、許氏の3人を逮捕、起訴。巨額の資金の行方は今も判然としていない。

 イトマンは住銀の主導で5年に住金物産(現日鉄住金物産)に吸収合併され、大阪を代表した老舗商社は約110年の歴史に幕を下ろした。

 「愛着のある会社がなくなったことは残念」と傍士氏。土地狂乱のバブル期の事件を回顧し、「異常な時代で、銀行は土地が担保なら金をいくらでも貸した。詐欺師は金がある所に入り込み私腹を肥やそうとする。事件の教訓は忘れられつつあるが、今もITなど好調な業界こそ注意が必要かもしれない」と語る。

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  • 許永中氏への論告求刑公判が行われた大阪地裁の法廷(代表撮影)=平成12年11月14日

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