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【どこまで進む? 再生可能エネルギー】日本の燃料電池技術への注目度は高い

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【どこまで進む? 再生可能エネルギー】日本の燃料電池技術への注目度は高い

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トヨタ自動車が公開した燃料電池車の試作車  究極のエコカーとされる燃料電池車。早ければトヨタ自動車が今年度内に、ホンダが来年に一般販売を始める。欧米や韓国でも開発が進められているが、技術力を背景に一般販売で日本が最先端に立った。その技術については世界からも注目度が高いという。

 日本では2009年から家庭用燃料電池「エネファーム」が都市ガス会社などから発売され、これまでに9万台以上が販売されている。これに続く燃料電池車の一般市販が始まるわけで、燃料電池先進国といえる。

 その背景にあるのは、「1990年代からNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の開発プロジェクトが始まり、その後も国の支援が継続的に行われたことが大きい」(燃料電池開発情報センターの吉武優常任理事)との見方が一般的だ。

 燃料電池に採用されているのは、固体高分子型(PEFC)と呼ばれるタイプ。室温から100度未満で始動でき、パワーも大きいからだ。エネファームでは約1000度という高温で作動する固体酸化物型(SOFC)も商品化されている。

 ただ、燃料電池の課題の一つはコスト。トヨタは燃料電池車の販売価格を、予想を大幅に下回る700万円程度としたが、なかなか手が届くレベルにない。

 燃料電池車のコスト低下の鍵を握るのが、電池自体と水素タンクだ。「燃料電池は触媒に貴金属を使用しており、これを減らす材料改善が必要。また水素と酸素の反応効率を高めるため、面積を増やす3次元構造を効率よくつくることがポイント」(吉武常務理事)だ。水素タンクは強度を保つためアルミや樹脂をカーボンファイバー(炭素繊維)で巻く構造だが、この効率化も必要だ。さらに「燃料電池を搭載するスペースの関係から、専用の車台となっている」こともコストを引き上げている。

 一方で、燃料となる水素の製造でも新しい試みが始まっている。ホンダは太陽光発電で水を電気分解する水素ステーションの実証実験を埼玉県庁で実施。現在、水素は天然ガスなどから製造しているが、電気分解でつくれば「純度の高い水素ができる」という。

 日本の燃料電池技術情報を発信する同センターには「海外からも問い合わせが多く、日本の注目度は高い」という。コストやインフラなどに課題は山積するが、水素社会の実現に向けてまた一歩踏み出そうとしている。

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