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国産大型ロケット節目の20年 成功31・失敗3は世界水準

ニュースカテゴリ:社会の科学技術

国産大型ロケット節目の20年 成功31・失敗3は世界水準

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全球降水観測計画の主衛星を載せ、打ち上げられるH2Aロケット23号機=28日午前3時37分、鹿児島県の種子島宇宙センター  純国産大型ロケットは平成6年2月のH2打ち上げを皮切りに、今回で20年の節目を迎えた。この間、3回の打ち上げ失敗があったものの、増強型のH2Bを含め31回の成功を重ねて技術と信頼性を磨いてきた。米国からの技術導入で始まった日本の大型ロケットは国産化率を高めながら進化を遂げ、成功率は既に世界水準に達している。

 しかし、ロケットの評価は信頼性だけではない。今後の課題は国際競争力だ。H2Aの打ち上げ費用は約100億円で、設計の簡素化によりH2と比べて半減したが、商業打ち上げ市場では価格と実績に優る欧州やロシアに大きく水を開けられている。

 H2Aの打ち上げを担う三菱重工業は昨年9月、カナダの企業から商業衛星の打ち上げを受注したが、関係者は「最大の勝因は近年の円安」と明かす。

 欧州とロシアは次世代機を開発中で、米国では低価格の民間機が登場するなど競争は激しい。日本も来年度から次世代機「H3」(仮称)を開発し、性能向上と費用半減を目指すが、初打ち上げは32年。それまではH2Aで着実に成功を重ねていく必要がある。(草下健夫)

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