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【ソチ五輪】「日本に勝った!」で人気急上昇 韓国カーリング女子、「可愛すぎる」とも

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【ソチ五輪】「日本に勝った!」で人気急上昇 韓国カーリング女子、「可愛すぎる」とも

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 ソチ五輪で、韓国でこれまで見向きもされなかった女子カーリングがにわかに話題の的に浮上した。理由は初戦で「日本に勝った」こと。「掃除しているの?」と小ばかにされてきた存在から一転、試合はゴールデンタイムに中継され、インターネットでは、選手が“可愛(かわい)すぎるカーリングドル”としてアイドル並みにもてはやされだした。

日本の順位に一喜一憂、ドラマ押しのけ中継

 きっかけは、11日の対日本戦。韓国女子は参加10カ国中、最下位ながら12-7で格が上の日本を下すという「歴史的な五輪初勝利」(韓国メディア)を収めた。

 日本といえば、何かにつけ、ライバル心をむき出しにする韓国では、日々のメダル獲得数でも自国とともに日本の順位が報じられ、「日本に勝っているか」といっては国民が一喜一憂してきた。

 それだけに対日戦勝利に沸き返ったが、カーリングはまともに中継されたこともなく、ネットでは、得点法など、基本的ルールに関する質問が飛び交った。

 それとともに、検索ワードで上位に入ったのが、リードと呼ばれる最初にストーンを投じるイ・スルビ(25)についてだ。

 リンクに真剣なまなざしを送る童顔な彼女に対して、韓国語で「可愛すぎる」を意味する「オルチャン」という言葉が注がれ、カーリングとアイドルを掛け合わせた「カーリングドル」という造語も生まれた。

 これに対し、本人は「私がオルチャン? 実物を見れば」と笑い飛ばしたといい、いたって冷静だ。

 冷静でいられないのが、視聴率が“命”のテレビ局のようだ。12日の対スウェーデン戦では、韓国時間で午後7時からというゴールデンタイムに、ドラマなど通常の番組編成を吹っ飛ばし、試合を急遽(きゅうきょ)生中継した局もあったという。

“極貧”から出発…「日本がうらやましい」

 しかし、晴れの舞台を迎えるまでの道のりは長かった。韓国にカーリングが上陸したのは1994年と最近のことで、後発国中の後発国だった。

 カーリング第1世代は、専用シューズも用意できず、スニーカーの底にアクリル製の布を張った「代替シューズ」でリンクに立った。カーリング用ブラシもなかなか交換できず、国際大会で、他国チームの使い古しをもらい受けて間に合わせていたともいう。

 海外合宿では、韓国系の家庭に泊めてもらい、昼はハンバーガーショップ、朝夕は自炊で、合宿費をやりくりした。ブラシを擦る姿から「掃除でもするの?」といった心ない陰口もたたかれてきた。

 “ヒロイン”に仕立てられたイ・スルビにしても、高校時代に頭角を現したが、卒業後の受け入れ先がなく、一時はカーリングの道を諦め、保育園の補助保育士をしていた。2009年にようやく現在の代表チーム監督に引き上げれた。

 そんな韓国代表にとって、日本は合宿を重ね、基本的な戦術を教えてもらい、技術を盗んできた「先生」に当たる国だ。それだけに、初戦の勝利は感慨ひとしおだっただろう。

 ただ、その後、主催国のロシアを破ったものの、黒星を重ねた。17日に米国に圧勝はしたが、準決勝進出は果たせなかった。

 キム・ヨナの一挙手一投足が注目されるフィギュアスケートでも、韓国国内で「所詮はキム・ヨナだけ。選手層の厚い日本がうらやましい」とのため息が聞かれる。冬季競技の基盤は脆弱(ぜいじゃく)で、まだまだ個人芸に頼っているのが実情だ。

 降って沸いたカーリング人気も長続きするのか、それとも一過性に終わるのか。熱しやすく冷めやすい国民性だと自嘲されるだけに心許なくもある。(桜井紀雄)

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