「忘年会なし」企業7割 制限撤廃も外食苦境
新型コロナウイルス下の行動制限緩和策が、各都道府県の手続きを経て月内にも実施される。緊急事態宣言下でも条件付きで店利用の人数制限がなくなり、外食業界からは歓迎の声が上がる。ただ居酒屋業態は生活様式の変化で宣言が明けた10月以降も客足の回復は鈍いまま。忘年会や新年会を開催しない企業が7割超に上るとの調査結果もあり、かき入れ時の年末年始も厳しい状況が続きそうだ。
「経済活動の再開で売り上げ収益が回復するのでは」。外食大手コロワイドの野尻公平社長は19日の決算説明会で、こう期待感をにじませた。
相次ぐ宣言などのあおりを受け、同社の上半期の月々の売り上げ収益は、コロナ禍前の令和元年度比で6~7割を推移。レストラン業態は11月上旬に9割まで回復したが、居酒屋業態はなお6~7割にとどまる。
政府は経済対策として、観光支援の「Go To トラベル」事業や外食支援のイート事業を再開する方針だ。緩和策では「ワクチン・検査パッケージ制度」を活用し、宣言対象地域などでも感染対策の第三者認証を受けた飲食店では、会食人数の上限がなくなる。イベントも人数制限が撤廃される。
ファミリーレストランを展開するすかいらーくホールディングスの谷真会長兼社長は、緩和策を「相当の押し上げ効果がある。外食企業に大きなプラスだ」と評価。大規模イベントが開催されれば、その前後での飲食店利用につながると見込んでいる。
ただ居酒屋業態では厳しさが続く。日本フランチャイズチェーン協会によると居酒屋やパブは昨年度、店舗数が約2割減少した。東京商工リサーチの10月の調査では、7割超の企業が緊急事態宣言などの有無にかかわらずこの冬の忘年会や新年会を「開催しない」と回答した。鉄道各社の終電の繰り上げは、深夜帯の集客に影響を及ぼしている。
外食大手ワタミの渡辺美樹会長兼社長は「大箱の居酒屋はライフスタイルの変化で大きな影響を受けている。業態転換を含め、変化を恐れず対処するしかない」と話している。(加藤園子)