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イケア本社で見た「オフィス向け家具」の可能性 働き方変わり職場環境への波及狙う

SankeiBiz編集部
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自社製品ゆえの強み

 イケア・ジャパンで法人向け事業を担当する佐川季由(きよし)氏は「売上の約10%を占めるBtoBを成長させ、従業員50人以下の『スモールビジネス』のお客様を支えていきたい」と話す。

 同社はオフィスなどをリニューアルする顧客からの相談に応じてレイアウトを作成するビジネスを展開している。設置を提案する机や椅子は、もちろんイケアの製品。顧客のリクエストを汲み取り、知り尽くしている自社製品の中から家具やインテリアを選ぶので、デザインだけでなく予算においても最適な提案ができるというわけだ。

 昨年はオフィスのほかレストランや病院の待合室など約1100件を手掛けた。ニトリなどの競合企業も進出している分野だが、佐川氏は「スウェーデンでデザインされたシンプルなデザインはさまざまな職場に馴染む。機能性と品質が高く、保証期間も長い」と自信をのぞかせる。

 また、7月には中小企業やベンチャー企業向けに新しいメンバーシップクラブ「IKEA Business Network」を立ち上げた。入会費や年会費は無料で、家具の割引やインテリアデザインの相談、ビジネスの基礎を学ぶオンライン講座などの特典を受けられる。また、先述のレイアウト作成サービスも割引価格で利用できる。

 イケア・ジャパンがそうだったように、社員同士のコミュニケーション促進を狙ったオフィス作りを求める声は小さくない。だが多額の費用がかかることを懸念し、オフィスのリフォームやレイアウト変更に二の足を踏む企業は多いという。イケア・ジャパンは適正価格と家具のクオリティーを武器に、こうした中小のニーズを取り込みたい考えだ。

 帝国データバンクによると2020年度の国内の家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)は約1兆5000億円で、過去最高を更新した。イケア・ジャパンもBtoCの巣ごもり需要で業績を伸ばした1社で、新型コロナ禍が落ち着きを見せる中、リモートワークとオフィス出勤のバランスは改めて見直され始めており、BtoBの取り組みを本格化させている。

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