仕事の濃度が濃くなり、自分時間も充実
一方、仕事の面でも8時間を基準に組み立てる1日の勤務時間が「以前と比べて仕事量と見合うようになってきた」という。
「いま思うとオフィスで仕事をしていた当時は会議などが多く、相談事にも多くの時間が割かれていました。それにオフィスにいると“いなきゃいけない雰囲気”がありましたが、リモートならPCの電源を切れば終わりなので、そういう無駄も一切なくなりました。リモート化で社内外の業務が大幅に効率化され、その分、自分の時間が充実しています。本当にコロナ禍は働き方を大きく見直すきっかけだったと思います」
夜遅くまで勤務する日もあるが、余裕があるときはのんびりと仕事する日もある。自分の裁量に任せられる環境を作るためにはそれなりの成果を出し、会社から信頼を得ることが前提となるが、自主性を尊重される現在のスタイルの方が「仕事の濃度が濃くなった」という。
仕事は基本的にホテルの部屋か、Wi-Fi環境が整ったカフェで行う。集中力が途切れたら周辺を散歩し、気分転換してから再開。特に観光地などに出向くわけではないが、休憩時間さえも旅感覚を満喫できるのもノマドライフならではだ。
一度始めたらやめられなくなる?
現在滞在中の岡山の次は「行ったことがない」という四国4県を巡る予定だという。コロナの感染拡大が落ち着いたら、時差で業務に支障を来さない範囲で海外への移動も視野に入れている。
「ノマドライフをやめることも想像してみましたが、家賃は高いし、契約手続きも面倒だし、家具家電などを揃えるのも大変。ホテル暮らしという意味では今のところやめる予定はありません」という山本さん。触発されてホテル暮らしを始めた友人とも、「結婚でもしない限りやめるタイミングがない」と話している。
何不自由なく、ストレスからも解放されるというデジタルノマドライフ。逆に「向いていない人」とは?
「家庭がある人(家族が動けない理由がある人)やオフィスへの出社が必須などの制約がある人はもちろん、物をコレクションしたい人、定住することが落ち着く人、節約を極めている人は不向きかと思いますが、それ以外の人は一度やってみたら、案外快適さに気づいてハマってしまうと思います(笑)」─。
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