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ファミマ「業界トップ目指す」 新PBでイメージ刷新…“風向き”変わるか

SankeiBiz編集部
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 新型コロナウイルス禍の影響で在宅勤務が進む中、惣菜や弁当などを買って自宅で食べる「中食」需要が伸び、コンビニエンスストアのプライベートブランド(PB)商品の売れ行きは好調だ。大手コンビニ各社が商品開発にしのぎを削る中、ファミリーマートが18日、新たなPB「ファミマル」を発表した。従来の「ファミリーマートコレクション」と「お母さん食堂」を統合。19日から新ブランドに刷新し、品質向上に注力する。新PBは「業界トップ」を目指す同社の起爆剤となるのか。

 「負けていたのはイメージ」

 品質の向上が著しい近年のコンビニのPBだが、ファミリーマートは「イメージで負けている」と“自己分析”する。消費者を対象に同社が実施したアンケートで、「業界1位の会社」のPBとファミリーマートのPBで「どちらのハンバーグが美味しいと思うか?」と尋ねたところ、イメージでは9割近くが「業界1位の会社が美味しそう」と回答したからだ。まして、試食後の感想では「ファミリーマートの方が美味しい」との回答が過半数を占めたというのだから、イメージ戦略の見直しは喫緊の課題だった。

 アンケートで比較対象となった「業界1位」のセブン-イレブンのPBは、企業名を冠した「セブンプレミアム」。これに対しファミリーマートは、加工食品や菓子、アイスなどは「ファミリーマートコレクション」、冷凍食品や総菜類は「お母さん食堂」の2ブランドを展開してきた。

 「商品のこだわりが伝わりにくく、商品の棲み分けも不明確。ファミリーマートとしてのブランドイメージを訴求できていなかった」

 ファミリーマートの足立光チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)は18日の会見で、問題点をこう振り返った。新ブランドはファミリーマートのPB商品であることを認識しやすいように、通称として浸透している「ファミマ」という言葉とブランドカラーを前面に打ち出したという。安全性や美味しさなど、品質の良さをわかりやすく表現したという二重丸のデザインを採用。全ての世代・性別に受け入れられる点も重視している。

 美味しさもリニューアル

 ブランドイメージの刷新だけでなく、品質や味の向上にも力を入れる。とくにこだわったという商品の一つがハンバーグ。「コンビニのハンバーグは侮れない」といわれるほど、各社が開発に力を注ぐ商品だ。

 消費者がハンバーグに求めていることは何か。ファミリーマートは消費者を対象にした調査結果に基づき、肉汁と柔らかさ、「映え」の3点を追求したという。焼き方や焼く温度を綿密に計算し、ハンバーグの外側はこんがり、内側は柔らかな食感を実現。さらに、肉の持つ風味を引き出すため、塩味がまろやかに感じられる岩塩を採用。競合商品との差別化を図ったという。

 他にも、さわやかな香りの花椒(ホアジャオ)を別添した四川風麻婆豆腐や、バターの風味がさらに豊かになった海老グラタンなど、素材や製法にこだわった商品がラインナップされている。価格も「基本的には前身の商品と変わらず提供していく予定だ」(同社広報部の樋口雄士さん)という。

 「ファミマル」ブランドは19日から全国約1万6600店で展開。現在は「ファミリーマートコレクション」と「お母さん食堂」で展開している約660種類の商品は、来春までに「ファミマル」に切り替える。おむすびや弁当、サンドイッチ、うどん・そば・ラーメンなどの「中食」商品も、順次「ファミマル」ブランドとして展開。合計約810種類が対象となり、ファミリーマートのPB史上最多の商品数になるという。

 家族にも勧められる商品を意味する「ファミリークオリティ」を掲げる同社は、新ブランドの「ファミマル」で、さらに食卓への浸透を図る方針だ。18日の会見で細見研介社長は、PBの今後の売り上げ比率について「現状の30%を2024年度末には35%以上にしたい」と強調。創立40周年という節目でのPB刷新に、足立CMOは「そろそろ業界ナンバーワンを入れ替えたい」と強い意欲を示している。

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