サービス

日光市が描く観光地の新たな未来図 国内初導入「環境配慮型・観光MaaS」で実現すること

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 観光地に集中するマイカーによる環境負荷などの問題をめぐり、栃木県や東武鉄道などが今秋、栃木県の日光エリアで複数の移動手段と観光要素を組み合わせた「環境配慮型・観光MaaS(Mobility as a Service)」を全国に先駆けて導入する。鉄道とバスをセットにした、スマートフォンなどのデジタル端末で使える乗り降り自由の「フリーパス」を販売するほか、電気自動車(EV)を中心とするカーシェアリングやシェアサイクルなど環境に配慮したモビリティを移動ニーズに合わせて利用しやすくする。

 観光MaaSのロールモデルに

 地域住民や旅行者の移動ニーズに応じ、複数の公共交通機関や移動サービスを組み合わせて「検索・予約・決済」を一括で行えるサービスとして注目されているMaaS。移動の利便性向上や地域の課題解決につながる手段として、全国的に普及拡大に向けた取り組みが進められている。

 「NIKKO MaaS」と名付けられたこの取り組みは、環境省の「地域の脱炭素交通モデル構築支援事業」として採択された助成金事業。年間約1100万人以上の観光客が訪れ、その7割がマイカー利用という日光エリアが抱える交通問題や環境負荷の問題をMaaSで解消することを目指す。特に人気が高い世界遺産エリアの紅葉が見頃を迎える時期にあたる、10月28日(木)から販売を始める。

 「NIKKO MaaS」は、浅草から日光へ向かう東武線の各駅から下今市駅までの往復乗車券と日光周辺エリアで自由に乗り降りできるデジタル端末向けのフリーパス、日光エリアでのカーシェアや観光コンテンツなどをすべてスマートフォン1つでスムーズに検索・購入・利用できるサービス。従来のようにチケット手配やレンタカー予約、観光情報の検索を個別のサイトで行わなくても、「NIKKO MaaS WEBサイト」経由で全てを完結できる。

 「環境配慮型の観光MaaS」として、シェアサイクルの他、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)のカーシェア、さらにエリア内の急速充電器の配備も進める。また、旅の目的やエリアに応じて、地元の観光施設を組み合わせたリーズナブルなデジタル端末向けフリーパスも用意する。

 栃木県環境森林部環境森林政策課環境立県戦略室の大橋禎恵室長は「日本初となる環境配慮型の観光MaaSとして、日光エリアの自然環境に配慮しながら利便性の高い旅を満喫いただくとともに、地元にとってもメリットのある新しい観光の形を提示していきたい」と意欲を示す。政府が掲げる2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、「観光地での脱炭素の取組みのロールモデルとなることを目指す」としている。

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
SankeiBiz編集部員が取材・執筆したコンテンツを提供。通勤途中や自宅で、少しまとまった時間に読めて、少し賢くなれる。そんなコンテンツを目指している。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング