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「GoToトラベル」再開の課題は? コロナで人員不足懸念も、需要喚起効果は昨年超えか

SankeiBiz編集部
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 10月に入って観光事業への追い風が一気に強まる中、業界が抱える根深い課題が浮き彫りになっている。1日から新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言などが解除され、政府は観光支援事業「Go To トラベル」の再開も見据えるが、コロナ禍に伴う人員カットの影響で人手不足の懸念が浮上。ワクチン接種が進んだ後でのトラベル事業再開の需要喚起効果は昨年以上の大きさになるともみられ、複雑な制度の見直しや徹底した感染防止策の継続なども必須といえそうだ。

 「第6波」重なれば需要縮小も

 「トラベル事業を再開するなら準備のための十分な時間と対応が必要だ」。JTB総合研究所企画調査部の牧野博明主任研究員は、観光業界のコロナ禍からの復活に向けた道筋についてこう話す。

 新型コロナ感染者数の減少に伴い、観光業界には朗報が続いている。政府は宣言解除に合わせて行動制限を段階的に解除していく方針を表明し、観光地には人出が戻り始めた。また岸田文雄政権発足翌日の5日には、斉藤鉄夫国土交通相がトラベル事業について、「再開のタイミングなどを検討する」と述べた。

 ただ、観光業界は新型コロナ感染拡大から約1年半にわたって大きなダメージを受けてきた。観光庁の宿泊旅行統計調査では、今年8月の延べ宿泊者数(速報値)はコロナ禍前の2019年同月と比べて51.8%減となり、苦境が続く。総務省の労働力調査によると、8月の宿泊業・飲食サービス業の就業者数は19年10月の水準から2割近く減った。

 牧野氏は「宿泊施設でも雇用を減らしたところが多く、すぐに人手を集められない懸念もある」と指摘する。

 仮にトラベル事業が再開された場合、旅行者数を増やす効果は昨年の夏から年末にかけて行われた前回のトラベル事業を超えるともみられる。今回はワクチン接種が進んでいるうえ、これまでの自粛生活で消費者の貯蓄も増えており、前回以上に旅行への関心が高まると予想されるためだ。旅行業界の受け入れ体制が整わないまま需要が急増すれば、混乱が生じる恐れがある。

 トラベル事業再開にあたっては、前回のトラベル事業で指摘された給付申請方法の複雑さや、利用が高額な宿泊施設に偏る傾向で生じる業界内での恩恵のばらつきといった課題への対応も求められそうだ。

 もちろん、旅行者数の増加が感染拡大の「第6波」と重なれば再び旅行需要がしぼむ事態も想定され、安心安全な感染対策を継続させることも不可欠だといえる。

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