サービス

まだ食べられる“売れ残り”を救済! 人気カフェチェーンが食品ロス対策に本腰

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 仕事帰り、ご褒美にスイーツを買って食品ロスを削減─。そんな気軽で美味しい社会貢献が身近なものとなりそうだ。食べられるのに廃棄される“食品ロス予備軍”となった商品をリーズナブルに販売するフードシェアリングサービスが、ドトールコーヒーが経営するカフェチェーン「エクセルシオール カフェ」の50店舗で始まった。同社は「飲食ビジネスに関わる企業としての責任でもある」(担当者)と強調。大手チェーンの参入で食品ロス削減に対する意識の浸透が期待される。

 試験運用で手応え

 関東圏を中心に全国123店舗を展開するエクセルシオール カフェ。店内で作り置きするサンドイッチなどのフード類も人気だが、一方で翌日に持ち越すことができない売れ残り商品や、配送や陳列時に割れて販売不可となった焼き菓子など、美味しく食べられるにもかかわらず廃棄対象となってしまう食品ロスが悩みの種になっていた。

 こうした商品を定価よりリーズナブルな価格で販売し、少しでも食品ロスを減らそうと導入されたのがフードシェアリングサービスだ。利用するのはコークッキング(東京都港区)が運営する食品ロス削減アプリ「TABETE」(タベテ)。食品ロスになりそうな食品を「食べて」ほしい店舗と「食べ手」である消費者をつなぐプラットフォームで、今年9月現在の会員数は約45万人、登録店舗は約1800店舗に上る。

 アプリでは食品ロス予備軍となった商品を購入することを「レスキュー」(救済)といい、ユーザー(会員)はアプリ上で現在地や駅名、食品のジャンルなどから、レスキュー対象となる食品と店舗を検索できる仕組み。例えば、自宅や会社の最寄りの駅など自分がいる場所を拠点に周辺の登録店舗を検索し、「レスキュー依頼」として出品されている商品で気に入ったものがあればアプリ上で購入、店頭に直接受け取りに行くというシステムだ。

 サービスの本格導入に先立ち、都内6店舗のエクセルシオール カフェで試験的に運用したところ、開始から約半年で923食品がアプリを通じて購入され、104キログラムもの食品ロスを防ぐことに成功した。この実績を踏まえ、首都圏を中心とする50店舗での本格導入を開始。仙台や大阪、神戸等の店舗も数店含まれ、アプリのユーザー分布や今後の利用状況を見ながら順次対象店舗を拡大する予定だという。

 従業員の心的負担の軽減にも

 TABETEを活用するメリットについて、ドトールコーヒー広報部の担当者は「単なる値下げではなく『食品ロス削減のための取り組み』であることがお客さまに伝わりやすく、理解を得ながら食品ロス削減に取り組める」と話す。一方で、従業員の心理的負担の軽減にもつながる。

 「従業員に対し、SDGs(持続可能な開発目標)として取り組むべき課題についてアンケートを行ったところ、最も多かった回答が食品ロス対策だった」。製造する傍ら、日々食品が廃棄されている状況に「作る責任」を感じている社員も少なくなく、フードシェアリングサービスに関する社内研修でも「食品ロス削減」としての取り組みであることを意識づけたという。

 コークッキングの担当者は「カフェチェーンという生活者にとって身近な店舗でTABETEを使っていただき、消費者・食品関連事業者・地球の3者にとって心地よい買い物の仕方が広まれば、日本全国で大幅に食品ロスを削減することも夢ではない」としている。

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
SankeiBiz編集部員が取材・執筆したコンテンツを提供。通勤途中や自宅で、少しまとまった時間に読めて、少し賢くなれる。そんなコンテンツを目指している。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング