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粉末コロナワクチン、1工程で25回分可能 日本の医薬品ベンチャーが開発
日本の医薬品ベンチャーが、海外企業が開発中のものより一度で大量に粉末状の新型コロナウイルスワクチンを製造できる技術を開発し、実験に成功したことが3日、分かった。海外企業なら1工程で接種5回分程度を作れるところを、このベンチャーなら25回分が可能となる。粉末化でワクチンは常温での保管が可能になるほか、小型化・軽量化できるメリットもあり、来年の実用化を目指す。
技術を開発したのは大阪市のモリモト医薬。国内の製薬企業と連携し、国産のコロナワクチンの粉末化を目指す。来年には年間で接種1億回分の量産体制を整える。
同社は液状ワクチンをスプレーして瞬時に凍結させてパウダー状にし、その後、連続して乾燥させ粉末化する技術を開発。このほど、ワクチン生産に利用する添加剤を使い、実際に1工程あたり接種25回分の粉末にすることに成功した。
コロナワクチンの粉末化技術は米国の製薬企業なども実用化を急いでいるが、1工程につき5回分程度が限度という。
これらの企業の技術では瓶に液状ワクチンを入れた上で専用装置の中の棚に並べ、冷やして粉末にする。時間は約1週間かかり、品質にもばらつきが出る。品質を保つには、回数を抑える必要がある。
粉末ワクチンは生理食塩水などを使って液状に戻し接種する。常温でも保管できるため、冷凍して保管される液状ワクチンと違い、冷凍保存設備やコールドチェーン(低温物流)が基本的に不要となる。ワクチンが小型で軽量になるため、接種会場での置き場の省スペース化なども期待できる。
こうした利点を踏まえ、政府も粉末ワクチンに関し、今年6月にまとめた「ワクチン開発・生産体制強化戦略」で、研究開発などの支援を進める方針を打ち出した。(【関連】塩野義のワクチン、年内に最終治験入り)