高論卓説

ワクチン接種の医師への質問 情報は客観視、最後は自分で決める

 かかりつけ医と相談して慎重に判断を、というものも示されてはいても、「では受けるな」と言い切って受けないリスクをとらせるのも難しい。それぞれのケースにおいて、丁寧に話しながら考えて決めていくしかない。

 「受けてもいいか」「自分は受けられるのか」と聞かれれば、「受けていけない理由はない」のであり、たいていはそう答えることになる。「受けて大丈夫か」という質問は「受けても何も起こらないのか、自分は安全か」ということであれば、それは絶対大丈夫かは分からない。そのリスクは特に病気のない方と同じか、もしかしたら少し高いのかもしれないが、測れるものではない。

 それを承知で受け入れるかどうか決めるのである。世の中にはワクチンに懐疑的な意見を述べる人もいる。患者から、「受けた方がいいのでしょうか」と尋ねられることもある。大勢に従うのが全てではないかもしれないが、ワクチンは科学的根拠があり、多くの専門家が推奨しているものである。

 メリットがデメリットを上回ると判断されるというのが、現時点での事実である。しかし、最後の決定は自分である。情報は、誰がどのように何を根拠にして伝えているのか、冷静に考えて自分の行動を決めるべきなのは、何事も同じである。

 これからの時代、医療を賢く自分のために利用する「患者力」が必要だ。自分の人生に責任を持つ、医療はあなたが生きるお手伝いができるだけである。『これからの医療 5つの「患者力」があなたと医療を守る!』(ごま書房新社)を刊行した。患者力は人間力である。しなやかに自分らしい人生を生きるために必要な力を備え、医療を上手に活用してほしい。

 【プロフィル】永井弥生(ながい・やよい) 医療コンフリクトマネージャー。医学博士/皮膚科専門医。山形大医卒。群馬大学病院勤務時の2014年、同病院の医療事故を指摘し、その後の対応に当たり医療改革を行う。群馬県出身。

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