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「CSV経営」で変わるアース製薬 感染症対策新技術の旗振り役担う

 新型コロナウイルス禍で世界が感染症の猛威に脅かされている中、虫ケア用品大手のアース製薬が感染症対策の新技術「MA-Tシステム(Matching Transformation System)」を活用した新しい取り組みを進めている。

 MA-Tシステムは研究開発型ベンチャーのエースネット(東京都港区)の高森清人社長が17年間にわたって研究し、2010年に完成させた酸化制御技術だ。亜塩素酸イオンから必要なときに必要な量の活性種(水性ラジカル)を生成することで、ウイルスの不活化や種々の細菌の除菌を可能にした。

 しかし当初はメカニズムも分からないままに除菌力の高さと、成分の99%以上が水で引火性もなく金属を腐食させないことから、MA-Tシステムの水溶液が飛行機内の除菌などで利用されていた。ところが15年に大阪大学がそのメカニズムを解明。さらにアルコールや塩素系の除菌剤では実現できなかった高い安全性と強い除菌力を両立させ、肌荒れしにくく、実験では新型コロナを99%以上抑制する効果があることも分かった。

 アース製薬が動き出したのは昨年6月。エースネット、阪大発ベンチャーのドットアクア(大阪府箕面市)と3社間で包括業務提携を締結。同12月には、アース製薬をはじめとした提携3社が中心となってMA-Tシステムの裾野を広げるための日本MA-T工業会を結成した。会員企業には三菱商事、丸紅、三井化学、花王、資生堂、マンダム、凸版印刷、大林組など多種多様な業界から日本を代表する企業が集まり、その数は61社に上っている。

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