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米、世界初の認知症新薬「アデュカヌマブ」を承認 エーザイなど共同開発

 【ワシントン=塩原永久】米食品医薬品局(FDA)は7日、日本の製薬大手エーザイと米バイオ医薬品大手バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」を新薬として承認したと発表した。症状を一時的に緩和する従来の薬とは異なり、病気の仕組みに作用して悪化を抑える世界初の新薬となる。認知症治療が前進するとの期待が高まっている。

 アルツハイマー病は、脳内に蓄積した「アミロイドベータ」というタンパク質が神経細胞を壊すことで、認知機能の低下を招くと考えられている。アデュカヌマブはアミロイドベータを除去する効果を持つ抗体医薬として開発され、一部の臨床試験(治験)で、軽度認知症などの患者の記憶や言語、金銭管理や買い物などで悪化を約22%抑えた。

 FDAは声明で「病気の根本的な仕組みを標的とした初めての薬になる」と承認の意義を指摘した。

 昨年11月のFDAの有識者委員会などでは、有効性に対する懐疑的な意見も浮上。FDAが審査期間を延長するなどして、承認するかどうかを慎重に検討してきた。FDAは今回、追加の治験をメーカー側に義務付け、期待通りの効果が得られなければ承認の取り消しもあり得るとしている。

 バイオジェンは昨年以降、日本や欧州でも当局に承認を申請しており、FDAの承認の是非が注目されていた。

 錠剤を飲む従来の認知症薬と異なり、アデュカヌマブは月1回、点滴で投与する。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、脳内で副作用を起こす懸念があるとして、投薬後の慎重な経過観察が求められることになるとの専門医の見解を紹介。医療費は高額となり、1人当たり年1万ドル(約110万円)以上になるとの米医療保険会社の試算を伝えている。

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