ヤマト運輸 デジタル化でも手書き伝票無くさない
□ヤマト運輸常務執行役員・阿部珠樹さん(50)
--昨年6月に電子商取引(EC)事業者向け宅配サービスのEAZY(イージー)を導入した。従来の宅配との違いは
「ECの場合は宅配の発注者と受取人が同じなので荷物の中身が分かっている。そのため、昼間勤務の方が夜に帰宅する場合に、なるべく遅い時間帯に自宅の倉庫や玄関前に荷物を置いておくことなども可能だ。配達する体制も変えた。EAZYクルーというECの荷物を配達する専門の部隊を作った。各地の社外の運送事業者に参加してもらっている」
--別の配達部隊を作るとコストが上がるのでは
「従来の荷物よりも箱のサイズがそろっていて配送車に高い密度で積むことができるので、むしろ運ぶ際の効率が上がる。また、発注も配達もデジタル化されているので、受け手にとっても荷物が明日届くとかがわかりやすくなり、再配達も減る」
--デジタル化が苦手な高齢者らへの対応は
「従来の宅配で手書きの配達伝票を全部無くすことはないが、田舎のおばあちゃんが孫に荷物を送る際などに、クロネコメンバーズに入ってもらうと受け取る側も荷物が明日届くとかが分かるようになる」
--配送ロボットの実用化に向けた進捗(しんちょく)状況は
「実用的にならないとあまり意味がないので、使う場面や場所などを考えないといけない。(公道は規制があるので)マンション内を配達するロボットなどはいいと思うので研究している」
--配達の新型コロナウイルス対策は
「コロナをきっかけにEC市場は伸びているが、非対面の受け取りニーズも強くなっている。コロナ収束後もそれは変わらないと思っている。ECだと何の荷物かわかっているので、玄関に置くのも頼みやすくなる」
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【プロフィル】阿部珠樹
あべ・たまき 日大法学部卒。1993年4月ヤマト運輸入社。2018年3月執行役員東京支社長などを経て21年4月から現職。静岡県出身。