現場の風
自然災害と感染症対策は同時並行で MS&ADインターリスク総研・災害リスクグループ長 三和多賀司さん(54)
--東日本大震災から10年。個人や企業の自然災害対策に関する意識に変化は
「個人や企業の防災対策意識は飛躍的に高まった。また、気象庁をはじめとする予報の精度が飛躍的に上がり、多様な情報が発信されるようになった。河川改修など防災・減災のインフラ工事も進んでいる」
--そうした中で、新たな課題は
「多くの企業は事業継続計画(BCP)を策定し、それに基づいた訓練などが主に巨大地震への対応で進んだ。ただ、大企業が先行して、中小企業はヒト・モノ・カネなどに制約がある中で多少遅れている印象だ」
--大規模な風水害は近年、日本各地で毎年のように起こっている。必要な対策は
「風水害に関しては気候変動の影響があるとされており、過去最大の降雨量や暴風などが次々と発生している。誰もが経験したことのない災害に巻き込まれる可能性がある。過去の経験に依存しない備えが必要だ」
--新型コロナウイルスのような未知の感染症と併せた自然災害対応で必要な視点は
「感染症と自然災害でBCPは大きく異なっている。ただ、感染症流行時でも自然災害は発生する。2月に宮城・福島両県で起きた震度6強の地震や昨年7月の九州豪雨がそうだ。これからは自然災害と感染症の対策は同時並行で行わないといけない」