Sponsored

物流施設の複合化とDXを加速 大和ハウス工業・浦川竜哉取締役常務執行役員に聞く

 物流施設の開発棟数、総延べ床面積ともに国内トップシェアを誇る大和ハウス工業。コロナ禍で増大した電子商取引(EC)市場の拡大にあわせ、国内の物流施設需要は増すばかりだ。物流事業の戦略やデジタル技術で業務変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を取材した。

■物流を核に街づくり グローバル展開も加速

 大和ハウス工業の建築事業本部長で物流施設など事業施設の担当役員を務める浦川竜哉取締役常務執行役員に、物流施設事業の取り組みを聞いた。

 --物流施設の開発に注力している

 「当社創業のルーツは実は倉庫だ。鉄パイプを工場で加工し現場で組み立てる商品「パイプハウス」が簡易倉庫として鉄道会社に初めて採用され、そこからプレハブ住宅や工場、店舗などに応用展開された。その後、モータリゼーションの発達による郊外型店舗の普及とそれに伴う物流施設ニーズの増加をはじめ、法改正による事業用地の定期借地や物流不動産の証券化が順次可能になり、開発ニーズが急拡大した」

 --これまでの開発実績は

 「2020年12月時点で施工中を含めて計282棟、総延べ床面積は974万平方メートルに達する。棟数、面積ともに国内トップシェアだ。物流施設事業の売上高を数年内に20年3月期比で2倍に引き上げたい」

 --競合他社にない強みは

 「長年培った設計・施工ノウハウや実績はもとより、当社の拠点網を生かして全国各地の物流ニーズを的確に把握し、地方都市であっても最先端の施設を開発できる点だ。また、工業団地の開発による企業誘致から物流ニーズを創出し、雇用や女性の社会進出も生み出すなど『物流を核とした街づくり』を手がけられるのも当社の強みだ。昨今は、物流施設のある自治体や入居する事業者と災害発生時の一時避難や物資集積で協力する防災協定を結ぶ事例も増えている」

 --新型コロナ禍で物流ニーズも増大した

 「電子商取引(EC)市場の急拡大のほか、製造業や小売業もサプライチェーン(供給網)の見直しにより、在庫を増やす傾向にあり物流ニーズはまだまだ伸びる。変化の激しい時代においては、顧客の事業展開も加速している。2年以上の時間を掛けて専用の物流施設を開発するよりも、素早く事業展開するために、複数企業が入居できる『マルチテナント型』施設のニーズが急速に高まっている」

 --海外での取り組みは

 「海外でも工業団地開発は当社の強みであり、顧客のグローバルサプライチェーンの構築に貢献すべく、工場や物流施設建設に連携して取り組む。現在は東南アジアが中心だが、北米や欧州にも今後進出する計画だ。早期に海外事業の売上高を1000億円に伸ばす」

 --今後の事業展開は

 「物流機能の複合化とDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。昨今は単に物流機能を提供するだけでなく、本社・事務所や工場、福利厚生などさまざまな機能を持つ施設への関心が高まっている。また、物流現場での非接触・自動化ニーズも強く、ロボットやAI(人工知能)、ビッグデータなどを活用してDX化を進め、物流業務の効率化や新しいサービスを提供していく」

うらかわ・たつや 明治大大学院グローバル・ビジネス研究科修了。1985年大和ハウス工業入社。常務執行役員を経て、2017年取締役常務執行役員。20年10月から建築事業本部長。60歳。神奈川県出身。

■AI、ロボットを活用 システム提案も強み

 物流業界において人手不足が課題となるなか、大和ハウス工業は物流業務の自動化ニーズに対応した次世代型施設やデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した新サービス開発を進めている。

 具体的には、無人搬送ロボット(AGV)が倉庫内の荷物や保管用の棚を自動搬送するのをはじめ、ビッグデータから吸い上げた情報を人工知能(AI)が分析し、入居するテナント企業の荷物量を予測してロボットや人員を最適化。また、クラウド型の配車・運行管理システムによるトラックの積載率向上など配送の効率化も実現している。

 これら物流最適化システムの一体的な開発や提案は、物流IT事業を手がけるグループ会社のダイワロジテック(東京都港区)や提携するベンチャー企業が担う。すでに大和ハウス工業が開発した物流施設「DPL市川」(千葉県市川市)や「DPL流山」(同流山市)で一部運用を始めた。

 さらに、ニューノーマル(新常態)時代に対応した施設運営の実証実験も進めている。大和ハウス工業とNTTコミュニケーションズは昨年12月、「DPL市川」でNTTコミュニケーションズが提供するAI映像解析システムを活用し、施設内に設置したカメラ映像から利用者のマスク着用の有無、カフェテリアの混雑度を自動検知して可視化し入室制限する実験を始めた。 

 実験結果を踏まえて同システムの標準採用を検討する。感染症対策を強化し安全・安心に配慮した施設運営につなげる方針。

■自治体と防災協定 サステナブル施設相次ぐ

 大和ハウス工業は、物流施設を核とした街づくりや地域貢献の一環として、同社が開発した物流施設のある自治体と防災協定を結ぶ動きを加速する。災害発生時に施設を一部開放し、地域住民を守る「安全・安心機能」を持たせることで、サステナブル(持続可能)な施設開発につなげている。

 今年2月、岩手県北上市で3棟目となる複数企業が入居できるマルチテナント型物流施設「DPL岩手北上III」(延べ床面積1万804平方メートル)を着工した。これを機に、北上市と同社は災害協定を締結し、地震などの災害発生時に同施設を支援物資の一時保管や集積場所として活用する。

 昨年11月には、千葉県流山市と防災協定を締結。災害時に、物流施設「DPL流山I」のカフェテリアやトイレ、駐車場などを地域住民の一時避難所として開放する。最大1200人の受け入れが可能で、防災品も500人分備蓄している。

 同社はこれまでに佐賀県鳥栖市や静岡県掛川市など7自治体と同様の防災協定を結んでいる。

■千葉に1000億円投資 国内最大級のDC建設

 社会のデジタル化が急速に進展するなか、大和ハウス工業は千葉県印西市に国内最大級のデータセンター(DC)「千葉ニュータウンデータセンターパークプロジェクト(仮)」=イメージ図=を開発する。

 インターネット用サーバーなどに供給可能な最大電気容量は600メガ(1メガは100万)ワットで、同社が手掛ける工業団地内にDCを最大15棟建設する。総延べ床面積は東京ドーム約7個分に相当する33万平方メートル。全施設が完成するのは2030年の予定で、大手IT企業などに貸し出す計画。投資額は約1000億円。

 DC開発は災害に強い建物が求められるなど、物流施設の開発ノウハウが生かせるため、同社の事業施設事業の一つの柱にすべく、国内外で強化する。

【大和ハウス工業株式会社HP 国内と世界を結ぶ次世流通センター】

(提供 大和ハウス工業株式会社)

Recommend

Ranking

アクセスランキング