20年後の日本は「けっこう暗い」 直面する衝撃の近未来予測
【エンタメよもやま話】さて、今回ご紹介するのは、興味深い日本の近未来の姿について語った1冊に関するお話です。よくいわれることですが、1990年代後半以降のインターネットの普及によって、世界の科学技術は過去とは比較にならないスピードで大きく変革。さらに2000年代に入ると人工知能(AI)絡みの研究や技術開発も進み、自動運転車やネットにつながって自ら学習するAI家電など、SF映画の世界がどんどん現実化しています。
そんななか、約20年後の日本の姿を予想する1冊が話題を集めています。タイトルは「2040年の未来予測」(著者・成毛眞=なるけ・まこと、日経BP、1700円+税)。われわれが直面する近未来の課題について、ポイントをしぼって説明しています。
本書では、日本人の生き方を激変させたのは、2008年7月に国内発売された米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」であると明言。われわれの生活水準はアイフォーンの登場以降、大きく変わっていないが、スマホという新しいテクノロジーによって生活様式は根底から変わったと説明し、未来について「これまでの10年よりこれからの10年の方が世界は大きく、早く変わるだろう」と予想します。
そして、米中が「がっぷり四つに組んで経済の覇権を争うこと」で激しい競争が起き、テクノロジーが飛躍的に発展。われわれの生活様式をさらに激変させるとの見方を示しています。
「テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする」「あなたの不幸に直結する未来の経済--年金、税金、医療費」など全4章で、日常生活に関わる身近な問題から、地球温暖化といった世界規模のテーマまで、さまざまな視点で2040年の未来を見通しています。
ただし、読み進めるうちに暗澹(あんたん)たる気持ちになっていきます。なぜなら、著者自身が「本書が示す将来はけっこう暗い」と指摘するように、明るい展望があまりないのです…。
40年には空飛ぶ車の実用化にメドがつくほか、AIによる医療技術の格段の進歩がオンライン診療の実現を大きく後押しするといいます。さらに、再生医療がパーキンソン病やアルツハイマー病の治療に効果を発揮。セキュリティーが強固な無人店舗の導入で万引が防止できるなど、テクノロジーのさらなる進歩によって、過疎地の医療問題や教育問題、そして“買い物難民”の解消が図られるといった明るい面ももちろん少なくありません。
ネットにつながった家電にAIが搭載され「『こんな夜中にチョコレートを食べるんですか?』。あなたがダイエット中だったら、冷蔵庫にこう警告される日はそう遠くないだろう」という、まさにSF映画の世界が展開される楽しい未来も描かれます。