現場の風

第一三共ヘルスケア マキロン50周年、ニキビ薬で新領域に

 第一三共ヘルスケア研究開発部開発第一グループ・田中美希さんに聞く

 --ニキビ治療薬「マキロン アクネージュ」の開発を担当した

 「殺菌消毒薬『マキロン』ブランドから3月12日に発売する。主力商品『マキロンs』の殺菌成分『ベンゼトニウム塩化物』を配合したのが最大の特徴だ。白残りしにくいクリームと、さっぱりした使用感のローションの2種類がある」

 --開発の動機は

 「マキロンsは、以前からニキビに効果があると女性誌や口コミなどで話題になっていた。当社が2016年に調査したところ、マキロンsを1年以内に購入・使用した人のうち、実に13%がニキビや吹き出物への対処に使っていることが分かった。ただ、マキロンsはニキビに対する効能を持っておらず、問い合わせを受けても答えられない状況が続き、もどかしさを感じていた」

 --開発で苦労した点は

 「配合成分の有効性と安全性の確認には多くの資金と時間をかけた。市販のニキビ治療薬でベンゼトニウム塩化物を配合したのは日本初だ。ベンゼトニウム塩化物は手指や医療機器の消毒で効果と安全性が確認されており、使用実績があるほか、安全性も高い。ただ、顔は身体より皮膚が薄く敏感なので、殺菌効果と安全性を両立できる濃度の設定には慎重に取り組んだ」

 --今後の抱負は

 「ニキビに悩む人は数多い。しかも新型コロナウイルスの感染が拡大する中、昨年4月に実施した調査では20~30代女性の65%がマスク着用による肌トラブルとして『ニキビ・吹き出物』を挙げた。マキロンが1971年に誕生してから今年で50周年。新商品発売を機に新たな領域へ挑戦することになる。ニキビに悩む多くの人に新たな選択肢が生まれたことを伝えていきたい」

【プロフィル】田中美希 たなか・みき 京大大学院医学研究科修了。2015年第一三共ヘルスケア入社。オーラルケア商品の開発に従事した後、16年からマキロンを含む皮膚用薬や鎮痛薬の開発を担当。愛知県出身。

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