日産自動車、電動化技術刷新 「ノート」全車に搭載
日産自動車 車両開発主管・渡辺明規雄さん(47)
--コンパクトカー「ノート」を8年ぶりにフルモデルチェンジした
「8年というのは相当長い時間だ。新しいコンパクトカーの基準を自分たちで作ろうと考えた。10年、20年の時間を飛び越えようという意気込みで開発した。特に力を入れたのは、電気自動車(EV)に近づけることだった。従来よりも力強く、なめらかで、静かな走りを目指した」
--2016年のマイナーチェンジの際、エンジンで発電してモーターのみで走行する独自のハイブリッド(HV)技術『e-POWER(イーパワー)』を導入した
「今回の新型車ではe-POWERを全面改良し、全車両に搭載した。旧型車では、インバーターやモーターはe-POWERで使える既存品を組み合わせていたが、新型車では設計から見直した。その結果、インバーターの軽量化や小型化、モーターの高効率化を実現した」
--製造コストを削減しながら、性能を高めた
「仏ルノーと共同開発した次世代プラットフォーム(車台)を採用した。骨太な部材を使いながら、軽い車体とするのが課題だった。エンジン音や振動を車体に伝えないよう、車内の部材の組み合わせや配置にも工夫を施した」
--自動車業界では電動化が加速していく
「電動化したからといって、それぞれの車の乗り味などの特徴がなくなることはない。エンジンなどの静粛性を高めると、いろいろな音が雑音として聞こえるようになり、違和感が生じてくるようになる。具体的には道路、タイヤ、風の音や、部品、エアコンの作動音などだ。電動化が進むと、こうした音のマスキングも重要視されると思う」
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【プロフィル】渡辺明規雄
わたなべ・あきお 京大工卒。2001年、日産自動車入社。スポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」などの操縦安定性や乗り心地の性能開発を担当。18年から現職。