多様なメンバー活躍の環境整備 人材を横串で捉える発想不可欠
モチベーションファクターとは、6つに区分できる意欲が高まる要素で、(1)チャレンジ(2)オーナーシップ(3)ステータスにより意欲が高まれば牽引(けんいん)志向(4)パートナーシップ(5)リスク回避(6)バランスにより意欲が高まれば調和志向が高い-というように捉える。
階層や雇用形態、チームの違いにより、モチベーションファクターの分布が把握でき、チームとして意欲が最も高まる適正配置を実現しやすくなる。
企業や部門によっては、牽引志向が100%の人から調和志向が95.6%の人まで多様なメンバーで配置されている組織もある。
日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターは牽引志向と調和志向に半々に分かれるので、そのように多様なメンバーで構成されているチームは、多様な顧客に対応しやすい半面、チーム内の巻き込みの難易度は上がる。
さらには、リーダーとメンバーの認識のギャップを明確にすることができる。リーダーとメンバーが相互に相手のモチベーションファクターを見極めることができているか、経過をたどって話すか、結論から先に話すかというような説明手法や返答手法の志向を分かっているか、それらに応じたコミュニケーションができているかどうかということを数値で示すことができ、一目瞭然になる。
多様なメンバーが能力発揮できる環境整備のための制度やルールの構築はもちろん重要だが、環境が整うかどうかは、縦割りの発想や抵抗感を排除して、多様な職位や雇用形態のメンバーを横串で捉えることができるかどうかにかかっていると思えてならない。
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山口博(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター代表取締役。慶大卒。サンパウロ大留学。第一生命保険、PwC、KPMGなどを経て、2017年モチベーションファクターを設立。横浜国大非常勤講師。著書に『チームを動かすファシリテーションのドリル』『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社)。長野県出身。