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ANA、コロナ後にらみ雇用維持 一時出向…他業種でも実施

 ANAホールディングス(HD)が27日に事業構造改革で示した社員のグループ外企業への出向には、新型コロナウイルス収束後を見据え、雇用を最大限維持する狙いがある。出向の対象となる社員について現在は仕事がない状態で給与を支払っているが、今後は出向先から労働の対価がANAHD側に支払われることになり、雇用を維持する負担が軽減される。

 社員を受け入れるスーパーマーケットの成城石井によると、ANAHD側から出向の受け入れ先になってほしいという打診があり、空港で働く地上職の社員約10人を店舗スタッフとして受け入れることになった。同じく出向先となる家電量販大手のノジマでは、11月から来春にかけて100人程度が横浜市内でコールセンター業務に就く予定。ノジマ広報は「航空は接客レベルが高い業界なのでこちらから声をかけた」と話す。

 ANAHDは出向のほか社員の副業の範囲の拡大も認めることで、航空需要が回復後、速やかに本業の航空事業に人材を戻して対応できる態勢をとるという。同社は人員の圧縮に加え、大型機を中心とした機材の売却や、マイレージ会員の情報を顧客基盤(プラットフォーム)として活用して旅行などさまざまな商品を発売する新規事業なども進め、航空需要の回復に備えたい考えだ。

 異業種への出向は、同じく新型コロナで苦境に立つ外食産業でも実施され始めており、コロナ禍でも人手不足の介護や農業などの業種が出向先となっている。航空や外食といった業種は新型コロナが収束すれば本来の需要が戻ることが見込まれ、今後こうした雇用維持の方策が広がっていく可能性もある。(大坪玲央、日野稚子)

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