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IT大手、自主ルール続々 問題頻発で規制強化に先駆け対応

 ヤフーやメルカリなどプラットフォームサービスを運営するIT大手が外部の意見を取り入れた自主ルールづくりに乗り出している。生活に欠かせないサービスとして定着する一方、高額転売や取引先への不利な条件変更などサービスのあり方を問われる問題が頻発しているからだ。来春施行の巨大IT企業への新規制も見据え、自主的な対応が広がっている。

 メルカリは12日、転売対策を含めたフリマアプリの原則を定め、11月下旬に公表すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクやうがい薬などの高額転売が相次いだことを受け、7月末に有識者会議を設置。経済学や企業倫理などの専門家らで議論を重ねてきた。禁止出品物の対応方針などを定める方向で調整している。

 田面木宏尚上級執行役員は「率先して課題に向き合う必要がある」と話す。国内のフリマアプリ市場はこの6年で6000億円超の規模に急成長し、多くの人が手軽に使えるサービスになった。一方で、転売問題など負の側面への視線も厳しさを増しており、社会にとって必要なフリマアプリの姿が問われているとみる。

 利用者の拡大でサービスの公共性が高まり、利用者の理解を得られるようなルールづくりが必要になってきたのは、他のITサービスにも共通する。LINEは8月にフェイクニュースや誹謗(ひぼう)中傷など有害コンテンツの監視指針を公表。一般からの意見も募るなど外部の声も生かしている。

 一方、ヤフーではネット通販サイトへの出店希望事業者に対する審査基準を12月までに公開する方針だ。ネット通販の検索結果の表示順位の決め方も9月から詳しく示している。4月に設置した有識者会議でネット通販のあり方や社会的責任などを議論し、「情報開示を促す」との提言に従った。

 ネット通販をめぐっては楽天が出品者負担での送料無料化を導入して取引先に反発が広がり、公正取引委員会が調査を行うなどして問題が顕在化した。集客力を持つプラットフォーマーは圧倒的に強い立場にあり「信頼してもらえるよう自主ルール策定や開示の必要性が高まっている」とヤフー担当者は指摘する。

 政府が来春施行する新法ではプラットフォーマーによる取引先への一方的な規約変更などを防ぐため、取引の透明化に向けた取り組み状況を毎年報告することなどが義務付けられる。IT大手の自主ルールはこれに先駆けて、公正な取引姿勢を示す動きでもある。(万福博之)

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 ■IT大手による自主ルールづくりやサービス改善の動き

 ・メルカリ マスクなどの高額転売問題を受け、7月に有識者会議を設置。11月下旬に転売対策を含めたフリマアプリの原則を公表

 ・LINE フェイクニュースや誹謗中傷などの有害コンテンツの監視指針を8月に公表

 ・ヤフー 4月に有識者会議を設置。ネット通販サイトの出店者審査基準などを年内に開示予定

 ・楽天 昨年2月にネット通販サイトのサービス品質向上や健全化に向けた有識者会議を設置

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