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半年弱の休業で苦境の中国映画界 「米国越え」に水差した新型コロナ
観光業や飲食店の再開が進む中で、「なぜ映画館だけが再開できないのか」という思いが業界内で募っている。
長澤まさみさんも出演の新作上映は来年?
この半年弱、中国映画業界の“傷”はどんどん深くなっている。中国紙、北京日報(電子版)によると、4月下旬に国家映画局は、今年の興行収入の損失額が300億元(約4500億円)を上回るとの見通しを明らかにしている。
まったく営業ができずにいる今も、従業員の給料やテナント料といったコストが運営会社にのしかかっている。そのため映画館の閉鎖も続いていると指摘される。5月中旬には中国財政省などが、映画業界を支援するため税制優遇措置を実施すると表明しているが、業界を襲う深刻な苦境を救うには力不足とみられる。
映画業界は、さらなる事態の長期化も見据えている。今年の春節期間に公開予定だった妻夫木聡さんや長澤まさみさんも出演する中国の探偵映画「唐人街探案3」は今も公開延期が続いているが、6月上旬に映画会社幹部は「本来は夏休み期間に上映したかったが、見たところ間に合わない」と表明。早くても10月上旬の国慶節(建国記念日)の大型連休、あるいは丸1年ずれ込んで来年の春節期間になるとの見通しも伝えられる。
米に迫っていた中国映画市場
新型コロナは成長を続けていた中国の映画業界を襲った。
中国全体の興行収入は、2019年には前年比5・4%増の約642億元(約9700億円)。110億ドル(約1兆2千億円)規模で推移している北米市場の興行収入に迫っていた。中国の映画制作会社幹部は「正常な状態だったら、近く米国市場を超えるかもしれないと期待されていた」と疲れた表情で話す。
今のような苦しい状況が長期化すれば、今後の中国映画市場の成長性にも影響を与える可能性がある。