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感染対策製品の開発、オンライン化…企業の挑戦を自治体が支援

 急激な売り上げ減少など、新型コロナウイルスの感染拡大による苦境を乗り越えようと知恵を絞る企業に対して、自治体が支援に乗り出している。大阪府内では感染防止対策に役立つ製品開発や、新規事業の立ち上げに必要な資金への補助制度がスタートしている。

 ものづくり企業が集積する東大阪市は、新型コロナの感染拡大を防ぐための商品開発や製作に必要となる費用を補助する支援制度を始めた。市内でものづくりを行う中小企業の製品開発にかかる費用1250万円までを対象に、80%を補助金として支給する。12日現在で複数の企業から申請があり、15日に外部専門家を交えた審査会で補助対象の企業を決める。

 同市によると、この支援策は、平成28年度から毎年実施している予算1千万円程度の独自事業「医工連携プロジェクト創出事業」を拡充して実施する。新型コロナの対策商品を積極的に開発してもらおうと、補助率は従来の50%から80%へ引き上げた。野田義和市長は4月30日に開いた臨時会見で「(市内で)医工連携がますます活発化している」と語り、ものづくりのまち、東大阪から新型コロナ対策に役立つ製品が次々生まれることに期待している。

 一方、コロナ禍を受けて、新業態を模索する企業に、開発投資への補助を行う自治体もある。

 八尾市は市内で事業を行う中小企業を対象に、需要が高まるインターネットを使ったビジネスに対応するための費用20万円までについて、10万円を上限に半額を補助金として負担する支援策を始めた。具体的には市内で営業する飲食店が「出前館」や「ウーバーイーツ」など既存のネット出前サービスを利用するための登録料といった初期費用の半額を負担するほか、学習塾のオンライン授業など、自前でホームページを立ち上げた場合の費用も半額負担する。大松桂右(けいすけ)市長は1日に開いた臨時記者会見で、意欲ある市内中小企業を「市がしっかり補助していく」と決意を語った。

 寝屋川市も売り上げが減少した飲食店などが、宅配サービスに対応できるよう変更するための支援を行う「デリバリー・スタートアップ支援事業」を始める。補助金の上限は30万円で、配達に必要なバイクや自転車などの購入(上限30万円)や、キャッシュレス決済の導入(上限5万円)などが対象となる。

 一方、利用客が激減する関西国際空港が立地する泉佐野市は、売上高が前年比で半分以下に落ち込んだ市内の宿泊施設に対して、1施設あたり最大100万円を給付する緊急支援制度を設けた。

 給付額は100室以上で100万円。10室以上、100室未満の施設は1室あたり1万円、10室未満の施設にも10万円を給付する。

 同市では、関空の対岸に位置するりんくう地区を中心にホテルなどが増え、多くの外国人観光客らを受け入れ、周辺の商業、飲食施設などにも経済効果が及んでいた。ところが新型コロナの感染拡大で観光客は激減、営業の自粛要請も重なって宿泊業者は深刻な打撃を受けている。このため、市は中止となった観光振興事業の財源を緊急支援に回すことにした。

 12日に記者会見して、制度について説明した同市の千代松大耕(ひろやす)市長は「宿泊事業は市の基幹産業になりつつあり、今後も泉佐野で事業を継続してほしい」と支援の意義を語った。

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