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産学で知財数十万件を無償開放 キヤノン、コロナ終息へ開発後押し

 キヤノンは、新型コロナウイルス感染症の早期終息のため、トヨタ自動車や島津製作所などを含めた20の賛同企業、大学で協力し、特許などの知的財産を無償で開放すると発表した。対象の知財件数は合計で数十万件に上るとみられ、企業や研究機関などがウイルス検査や治療機器などの開発や製造を迅速に進められるようにする。

 世界保健機関(WHO)が新型コロナの終息を宣言するまで、利用された特許権や実用新案権、意匠権、著作権に伴う対価や補償を求めない方針だ。通常、知財を利用する際は保有企業との交渉や手続きで1年以上かかることや条件で折り合いが付かない場合もあるため、無償開放でそうした障害を取り除く。

 トヨタは介護ロボット向けに開発した案件で、患者の体に触れなくても呼吸データが取得できる技術を開放する。島津製作所も持ち運びしやすい小型のエックス線検査装置の技術を利用可能とし、肺炎の発見に寄与する機器の開発などにつなげてもらう。キヤノンは医療機器やディスプレー関連技術などを役立ててもらう。

 キヤノンと京都大の松田文彦教授が呼び掛け、今回の取り組みがスタートした。事務局は京大発のベンチャー「ジェノコンシェルジュ京都」(京都市)に置く。

 国内外の他の企業などにも幅広く賛同を求める方針だ。経団連も大型連休明けに、会員企業に対して賛同を呼び掛ける予定だという。

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