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統一QRコード普及に追い風 ペイペイが参加

 総務省は28日、店舗に設置するQRコード決済の統一規格「JPQR」に、QRコード決済大手のペイペイが令和2年度から参加することを明らかにした。JPQRは決済事業者の足並みがそろわないことが普及に向けた大きな課題となっていたが、利用者が2500万人で最も使われているとされるペイペイの参加で、普及に向けて大きく前進しそうだ。

 JPQRにはこれまで、LINE(ライン)ペイやメルペイなど8社が参加していたが、新たにペイペイや楽天ペイなど4社が加わった。メルカリに買収された「Origami(オリガミ)」が外れて参加事業者は計11社となる見通しで、「主要事業者は概ね入った」(総務省)という。

 QRコード決済は昨年10月の消費税増税時に政府がポイント還元策を始め、普及が進んだ。ただ、乱立する事業者それぞれが異なる規格のQRコードを用いているため、店舗側は各事業者に対応したQRコードを用意する必要があった。

 そこで、産官学でつくるキャッシュレス推進協議会がQRコードの統一規格「JPQR」を策定。政府が旗振り役となり、昨年8月から長野や福岡など5県で実証事業を行い、今年5月末から全国展開を計画するなど、普及に向けて取り組んできた。

 ただ、統一規格を作っても決済事業者が採用しなければ意味はない。JPQRが導入されれば、自社が開拓した店舗でも他社の決済が使えるようになるため、店舗開拓で先行する事業者を中心に参加が進まず、普及の足かせとなっていた。

 JPQRが普及すれば店舗側は1つのQRコードを用意するだけで良く、個別に行っていた事業者との契約手続きも1本化される。利用者にとっても複数のサービスが使える店舗が増えて利便性が高まる。

 決済サービスコンサルティングの宮居雅宣社長も「ペイペイが参加する意義は大きい」と評価。その上で、「JPQRを導入した店舗でも、すべての決済が使えるわけではない点は注意が必要だ」と話す。どの決済事業者を利用可能にするかは店舗が決められるほか、決済事業者も店舗の経営状態などを見て、サービスを提供しないという判断ができるためだ。

 店頭のJPQRコードには対応する決済のロゴが明示されているが、混乱が生じないように、5月末の全国展開までに政府による周知活動が求められている。(蕎麦谷里志)

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