講師のホンネ

特別扱い=「愛されている」 積極的えこひいきの勧め

 子育てを含めたコミュニケーションにおいて、平等に扱うことより、戦略と戦術を立て「えこひいき」をどれだけ積極的に使いこなすかの方が重要ではないだろうか。子育てに関する相談でよくあるのが、「2人目が生まれてから、上の子が精神的に不安定になってしまった」というものだ。(伊豆はるか)

 確かに、弟妹が生まれて長子が赤ちゃん返りすることはよくある。生まれたときから親や祖父母の愛情を独り占めし、常に自分が主役だったのに、いきなり弟妹に愛情を分配されるのだから「ママはもう、僕(私)のことが好きじゃないのかも」と、不安になるのは当然だ。単純に、もっと愛情が欲しいのだ。

 そこで私がお勧めしたいのは、できるだけ「えこひいきすること」である。子供に対する愛情は、公平に分配してはいけない。特に、もともと愛情を独占していた長子は、それでは足りない。子供が「愛されている」と感じるのは、周りと同じように公平に扱われているときではなく、特別扱いされたときなのだ。

 大人も同じことが言える。相手からの好意、承認、期待を感じるのは、必ず特別扱いされたときだ。全く平等に接してくる相手に対して「彼女、俺のことを好きかもしれない」とか「この上司は私を認めてくれている」とは、なかなか思わないだろう。恋愛の駆け引きにも、会社での人間関係にも、えこひいきというコミュニケーションスキルは必須と感じる。

 3児の母である私の場合は、末っ子が生まれてしばらくの間、長女に「3人の子供の中で誰が一番好き」とよく聞かれた。そのときは「みんな同じくらい大好きだよ」とは答えず「○○ちゃん(長女)が一番だよ、秘密だけどね」と、こっそり耳打ちしたものだ。えこひいきするのは長女だけではない。それぞれの子供に、ママと2人だけで遊んだりお出かけしたりできる、えこひいきタイムを設けている。そのとき、あなたは特別だと伝えるように意識している。全ての子供に、えこひいきする機会を積極的につくるのだ。

 愛情というのは、その他大勢と同じでは伝わりようがない。えこひいきをうまく利用して、あなたの大切な人に「ちゃんと愛されている」「認められている」と感じさせてあげてほしい。

【プロフィル】伊豆はるか

 いず・はるか 兵庫県出身、精神科医・3児の母。慶大在学中に会社を設立し、塾や飲食店を経営。社長業の傍ら医学部入学。33歳で医師免許を取得。現在は精神科医・訪問診療医として働きながら、女性の新しい生き方を提案する「マルチライフプロジェクト」を主宰。現実的かつ具体的手法で女性を導く講座は毎回満席。

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