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「名古屋の台所」柳橋市場縮小 中核施設のビル、老朽化で存続断念
「名古屋の台所」といわれる柳橋中央市場(名古屋市中村区)の中核施設「中央水産ビル」が10月31日閉鎖し、半世紀を超える歴史に幕を閉じた。施設の老朽化や入居する卸売業者の高齢化で存続を断念。市場の規模が縮小し、昭和の面影を残したにぎわいが寂れることを心配する声も出ている。
柳橋中央市場は海鮮を中心とした民営の卸売市場で、前身は明治後期に遡(さかのぼ)る。中央水産ビルは1965年に名古屋中央市場水産物協同組合が建設。7階建てで延べ床面積約1万2500平方メートルに上る。築50年が経過し、名古屋市から耐震改修や建て替えを求められ、組合は昨年末の臨時総会で売却を決めた。売却先は明らかにしていない。ビルで営業していた約70の業者の中には移転せず、廃業を決断したところもある。
組合の浅岡哲也理事長(59)によると、市場全体で約180店があるが、中央水産ビルの閉鎖で150店程度まで減少するという。ビルの耐震化には10億円が必要だったといい「負担を考えると閉鎖は仕方がなかった」と話した。
ビル内で約50年営業してきたヤマキチは当初移転を考えたが後継者もおらず、この日を最後に廃業を決めた。吉田英治社長(68)は「こればっかりはしょうがない。常連さんもいるから寂しいけどね」と話した。
ビルは既に売却。2027年に東京-名古屋間で開業予定のリニア中央新幹線を見据え、今後市場周辺の再開発が進む可能性がある。